フィリピン麻薬撲滅戦争は、2016年6月末のドゥテルテ政権発足後に実施され、その名のもとに多くの人が殺害されているのは周知の事実。これに対して、国連や米国をはじめ、欧州連合など世界中から行き過ぎを戒めるよう大きな批判を浴びてきた。
当初、麻薬撲滅戦争の任務を国家警察に任せていた大統領だったが、大統領府麻薬取締局麻薬取締担当の警察官が韓国人ビジネスマンを拉致・殺害していた事件が判明したことなどがあり状況が変わった。麻薬取締業務は国家警察から、遥かに規模の小さいフィリピン麻薬取締庁(以下、PDEA)に移され、軍の支援を得つつ継続している。
しかしここにきてダバオ市警察庁は、違法薬物に関する任務が再び国家警察へ移される可能性について示唆し、市内全ての警察署長に準備を進めるよう命じていることが明らかになった。また、これを裏付けるかのように、ハリー・ロケ大統領報道官は11月27日の記者会見で、大統領が麻薬撲滅戦争の任務を国家警察に返還する意向であることを発表した。しかし、公文書への大統領の署名がなされるまでは、PDEAの管理下であると述べており、今後の動向に大きな注目が集まっている。