【コラム】ダバオの観光発展とまちづくりはワカモノ、ヨソモノ、バカモノの三バカが重要なキーワード

ダバオ

谷口 知司(たにぐち ともじ)
1955年生まれ。ミンダナオ国際大学客員教授 元京都橘大学現代ビジネス学部ならびに同大学院文化政策学研究科教授。
東北大学大学院教育情報学教育部博士前期課程修了 博士(文化政策学)専門 観光学、文化情報学。
初めてダバオを訪問した時からそのポテンシャルを感じ、ダバオ観光の発展を願っているダバオファン。ダバオッチ創設者ハセガワ氏は彼がまだNGOに勤めていた頃からの友人である。
主要著作に、『ひろがる観光のフィールド』(共編著、晃洋書房、2020年)、『これからの観光を考える』(共編著、晃洋書房、2017年)、『デジタルアーカイブの資料基盤と開発技法』(共編著、晃洋書房、2016年)など。


観光の語源については、観光研究では今や常識になっているが、中国の古典に辿り着く。易経という書物の一節に「観国之光、利用賓于王」(国の光を観るは王に賓たるによろし)という言葉がある。この点では観光は、「国の光を観ること」の意味になる。幕末・明治初期のころの観光は『国威を示す』という意味で用いられており、1855(安政2)年オランダから徳川幕府に寄贈された軍艦『スルビン』号に対し、幕府が『観光丸』と命名しているところによく示されている。

ダバオ国際空港では観光客を民族音楽で出迎え

その後、「国の光」とは、かけがえのないそれぞれの地域の有形・無形の文化や景観を意味するものと解釈され、「観る」は、これらを「見せる」と「示す」という意味であるとされた。さらに今日的に拡大解釈すると、「見る」、「参加する」、「食べる」、「泊まる」、「触れ合う」、「学ぶ」などの行為者の行為を含むものと考えることもできる。つまり、この観光という用語は日本独自のものである。ちなみに中国語では「旅行,旅游,游览」という用語が使われている。