【コラム】ダバオの観光発展とまちづくりはワカモノ、ヨソモノ、バカモノの三バカが重要なキーワード

ところで、観光学という学問は、既存のさまざまな学問分野から学際的に発展してきたが、この語源をもとにした観光学の立脚点のひとつに「まちづくり」という考え方がある。ただ「まちづくり」の解釈もまた多様であり、筆者の立場から言えば、地域社会における固有価値としての有形・無形の文化や景観(特に棚田のような人間がその営みにおいて作り上げてきたもの)に光をあて、それを再認識・再構築して地域内外に発信することで、交流や連携を生み出し、地域の活性化を導いていく行為である。

年一回の民族の祭典、カダヤワン祭り

かつて岐阜の大学で研究活動を続けていた頃、いくつかの地方都市の観光調査を行ってきた。そこで必ずといっていいほど耳にしたのは、「この町には観光するようなものは何もないです」という言葉であった。ダバオにおいても何人かの方から同じようなことを耳にした記憶がある。しかし人が持続的に生活を営んできたところには、必ずそこに根付く多様な文化、歴史、伝統、風習、習慣、民俗、集積された「知」が存在する。固有価値としての地域の光を地域住民がいかに示すことができるのかが、まさしく地域力であるとも言える。