商業活動の拡大や地価上昇を背景に、ダバオ地方の不動産市場がフィリピン国内でも有数の成長エリアとして注目を集めている。不動産調査会社の専門家は、「今こそダバオへの投資に適したタイミングである」との見解を示した。
この見通しは、2026年に開催された「ダバオ不動産市場ブリーフィング(Davao Property Market Briefing)」において、フィリピンの不動産調査会社「コリアーズ・フィリピンズ(Colliers Philippines)」の調査責任者ジョーイ・ロイ・ボンドック氏が示したものである。
ボンドック氏は、フィリピン統計庁(PSA)の最新地域別GDPデータを引用し、2025年のフィリピン全国の経済成長率が4.4%であった一方、ダバオ地方はそれを上回る成長を記録したと説明した。
コンドミニアム市場、販売率90%
ボンドック氏によると、ダバオのコンドミニアム市場では平均販売率が約90%に達しており、市場に出ている10戸のうち9戸がすでに販売または予約済みの状態だという。
「これは投資家にとって非常に良い兆候で、ダバオへの投資は好機であることを示しています。将来的に物件は完売し、価格も上昇するため、比較的価格が抑えられている現在の購入には価値があるでしょう」と述べた。
また、不動産大手「Aeon(イーオン)」では、2025年末時点で84%の販売率を記録しており、地方都市平均や全国平均を上回っているという。
マニラ首都圏で一部価格調整が見られる一方、ダバオでは安定した価格上昇が続いていることも特徴である。
一戸建て・土地市場も活況
ダバオでは一戸建て住宅および宅地市場も高い需要を維持している。
コリアーズ社のデータによると、ダバオ・デル・スル州の一戸建て住宅市場の販売率は94%、ダバオ・デル・ノルテ州では87%に達している。
一戸建て住宅の価格は2016年から2025年にかけて年平均6%上昇しており、一部プロジェクトでは年間9%近い上昇を記録、販売価格は最大1,230万ペソに達している。
さらに、土地のみを扱う「ロットオンリー市場(lot-only segment)」は特に高い成長を示しており、一部では年間16%の価格上昇が確認された。ダバオ・デル・スル州では販売率87%、ダバオ・デル・ノルテ州では78%となっている。
ボンドック氏は「土地投資はコンドミニアムや一戸建て以上に価格上昇が速い場合もあり、マニラからの投資家にとっても魅力的な選択肢となっています」と述べた。
背景には、新型コロナ禍以降、自然環境への志向やウェルネス重視の住宅需要が高まっていることがあるという。
BPO業界がオフィス需要を牽引
商業不動産分野でもダバオ市場は堅調に推移している。
ダバオ市のオフィス空室率はわずか3%と、マニラ首都圏以外では最も低い水準にある。
この背景には、OP360、Alorica、Concentrix、VXI、Teleperformanceなど大手BPO企業による積極的な事業拡大がある。
ボンドック氏は「ダバオは現在もフィリピン有数のBPO拠点であり、今後のオフィス市場においても極めて重要な都市です」と強調した。
これにより、これまでセブやマニラへ移住していた人材が、ダバオで就業できる環境が整いつつあると指摘した。
インフラ整備が今後の鍵
今後の成長について、ボンドック氏はインフラ整備の重要性を強調した。
特に、政府の「ビルド・ベター・モア(Build Better More)」政策のもとで進められているミンダナオ鉄道計画について、「完成すれば周辺地域の地価や不動産価格を大きく押し上げる可能性がある」と述べた。
さらにダバオのホテル業界も回復傾向にあり、パンデミック期に10〜20%まで落ち込んだ稼働率は、現在50〜70%まで回復しているという。
ダバオは国内有数の観光地としても注目度を高めており、観光で訪れた人がその後不動産購入を検討するケースも増えている。
ボンドック氏は「観光客として訪れた人々が、最終的にコンドミニアムや住宅の購入者へと転じる可能性もあります」と述べ、今後の市場拡大に期待を示した。






