フィリピン軍(AFP)所属のフィリピン空軍(以下PAF)は、2025年11月4日、アグサン・デル・スル州ロレトで発生した、2011年に米国から購入したスーパー・ヒューイ型ヘリコプターの墜落事故で死亡した6人の空軍隊員の身元をすでに特定したと発表した。
彼らは、熱帯性暴風雨「ティノ(Tino)」の被災地で人道支援活動を行っていたという。
ただし、空軍によると、現在も法医学的検査および解剖が行われており、犠牲者一人ひとりの正確な身元特定は「なお進行中」とされている。
空軍関係者はダバオのメディアに対し、「現在、犠牲者の身元確認作業が続いています」と述べ、殉職した隊員の表彰式および送還式が近く執り行われる予定だと付け加えた。
殉職した英雄たち
PAFは、犠牲となった隊員の氏名を次のとおり発表した。
操縦士:ポーリー・B・ドゥマガン大尉(PAF)、ロイス・ルイス・G・カミグラ少尉(PAF)
空軍乗員:イヴス・B・シジュブ軍曹(PAF)、ジョン・クリストファー・C・ゴルフォ軍曹(PAF)、エアマン・ファースト・クラス(上等空兵)エリクソン・R・メリコ氏(PAF)、エアマン(空兵)アミール・カイダール・T・アピオ氏(PAF)
PAFは声明で深い悲しみを表明し、犠牲者の遺族や関係者に次のように哀悼の意を示した。
「フィリピン空軍は、殉職した隊員のご遺族、ご友人、そして愛する方々に心より哀悼の意を表します。彼らの勇気と献身、揺るぎない職務への責任感は、空軍の崇高な理念を体現する永遠の証です。その遺志は、将来の空軍隊員たちに、人々と祖国を守るために同じ勇気と献身、そして名誉をもって奉仕することを促し続けるでしょう。」
関係者によると、イスラム教徒の空軍乗員の身元確認には特別な優先措置が取られており、遺体はイスラム教の慣習に従った埋葬のため、ザンボアンガ半島へ移送される予定だという。
墜落事故で死亡した6名の遺体は、11月5日、検視および法医学的鑑定のためダバオ市へ空輸された。
このヘリコプターは、台風被災地域への救援物資を届ける任務中に墜落したものだった。
東ミンダナオ司令部(以下Eastmincom:Eastern Mindanao Command)は、犠牲者の身元について、遺族への通知が完了するまで公表を控えていたと説明した。
また、この悲劇にもかかわらず、カラガ地方での人道支援活動は引き続き行われると強調した。
Eastmincomによると、捜索・収容チームは墜落当日の午後9時すぎに機体の残骸を発見し、全員の遺体を収容した。
第60歩兵大隊および第10歩兵師団の部隊が現場の安全を確保する一方で、調査官らが現場検証を開始したという。
墜落したスーパー・ヒューイ型ヘリコプターは、ダバオ市の戦術作戦群 第11部隊(TOG 11:Tactical Operations Group 11)本部を出発し、ブトゥアン市の戦術作戦群 第10部隊(TOG 10)へ向かう途中だった。
この任務は「災害後被害およびニーズ評価(RDANA:Rapid Damage Assessment and Needs Analysis)」の一環として実施されていたが、午前11時56分ごろに通信が途絶え、直ちに捜索・救助活動が開始された。
PAFのマリア・クリスティーナ・バスコ大佐は、墜落したヘリコプターについて、2011年に米国から調達・改修された機体であり、災害時の初動対応を担う捜索救助部隊の6名が搭乗していたと説明した。
救援活動は続行
Eastmincomは、カラガおよび北ミンダナオでの人道支援・災害救援活動が予定どおり実施されることを再確認し、兵士たちの犠牲が軍の救援・復旧活動を止めることはないと強調した。現在、トラックや工兵部隊、航空機などの軍事資産は、地方自治体の復旧作業を支援するため、引き続き配備されている。
一方、現場犯罪捜査官(SOCO)と空軍安全委員会の調査員は、致命的な墜落事故の技術的および運用上の原因を究明するため、現地で調査を開始した。







