【News】観光省、米国のミンダナオ地方への渡航勧告に疑問呈す ー「ミンダナオは安全な観光地」と強調

ダバオ国際空港

フィリピン観光省(以下DOT)は、アメリカの渡航勧告に疑問を呈した議員の発言を支持し、ミンダナオが安全な観光地であることを強調した。

アメリカ国務省は、5月8日に発表した渡航勧告で、フィリピン全土を「レベル2(注意の強化が必要な地域)」に指定し、アメリカ市民に対して犯罪やテロ、内乱、誘拐のリスクに注意するよう呼びかけている。

しかし同じ勧告では、ダバオ市、ダバオ・デル・ノルテ州、シャルガオ島、ディナガット諸島を除くミンダナオ地方の大部分を「レベル3(渡航の再考が必要な地域)」に分類し、これらの地域への渡航について慎重な判断を求めている。

再選を果たしたカガヤン・デ・オロ市選出のルーファス・ロドリゲス下院議員は、「この渡航勧告は一律的かつ不当です。我が国には観光客にとって安全な場所が数多く存在します。アメリカはこの勧告を再検討すべきです。最も重要な同盟国であるアメリカから、このような不公平な扱いを受けるいわれはありません」と述べ、勧告を批判した。

ミンダナオ出身のロドリゲス議員は、この渡航勧告が国際社会におけるフィリピンのイメージを損なうと強調した。

「この勧告は、アメリカ人だけでなく、他国の外国人観光客にもフィリピンへの渡航を控えさせる要因となります。観光産業にとって大きな打撃となるのは間違いありません。この勧告が、私たちの愛する島・ミンダナオに対して特に偏った内容になっている点も見過ごせません」と語った。

ロドリゲス議員は、外務省(DFA)に対し、メアリーケイ・カールソン駐フィリピン米国大使を召喚し、説明を求めるよう要請した。

また、フェルディナンド・“ボンボン”・マルコス・ジュニア大統領に対しては、外務省、ホセ・マヌエル・ロムアルデス駐米フィリピン大使、そしてDOTが、この渡航勧告の発表後にどのような対応を取ってきたのかを確認するよう求めた。

DOTはロドリゲス議員の見解に同調し、フィリピンが今なお旅行者にとって安全で活気に満ちた目的地であることを強調した。

「DOTは、ロドリゲス議員をはじめ、我が国の尊厳と名誉を守ろうとするすべての方々と連帯しています。同議員の支援は、フィリピンの温かさ、たくましさ、そして比類なきホスピタリティに根ざした、より公正かつ真実に基づくフィリピンの姿を世界に発信するという我々の決意を、いっそう強めるものです」と同省は述べた。

DOTは、国内外の旅行者の安全と利便性を確保するため、観光警察プログラム「以下TOPCOP(Tourist-Oriented Police for Community Order and Protection)」を通じて、主要観光地における警備体制の強化および即応体制の整備に向け、治安当局と連携を続けている。

また、旅行者が滞在中にトラブルに遭遇した際に迅速な法的支援を受けられるよう、「観光裁判所」の設置も支援している。

さらに、観光業への信頼を高める取り組みとして、「フィリピン・エクスペリエンス・プログラム(PEP)」の推進にも取り組んでいる。このプログラムは、各地方独自の文化遺産や料理、地域密着型の観光資源を紹介するツアーで構成されている。

このプログラムには外交団のメンバーも参加しており、フィリピンの豊かな観光資源とともに、各地の安定した治安状況を国内外に発信している。

過去の渡航勧告

2024年1月10日、カナダ政府は、以下のミンダナオ地方の州について、テロや誘拐、高い犯罪発生率、反政府勢力と治安部隊の激しい衝突などの重大なリスクを理由に、渡航を控えるよう警告を発した。

これらの地方に隣接するエリアも勧告の対象に含まれており、唯一ダバオ市のみが否定的な評価から除外されたことに対し、同市の行政関係者や経済界からは疑問の声が上がっている。

  • バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(以下BARMM)(ラナオ・デル・スル州、マギンダナオ州を含む)
  • 北ミンダナオ地方(ブキドノン州、カミギン州、ラナオ・デル・ノルテ州、ミサミス・オクシデンタル州、ミサミス・オリエンタル州)
  • ソクサージェン地方(コタバト州、サランガニ州、南コタバト州、スルタン・クダラット州)
  • ザンボアンガ半島(ザンボアンガ・デル・ノルテ州、ザンボアンガ・デル・スル州、ザンボアンガ・シブガイ州)

また、東ミンダナオの一部地方についても「不要不急の渡航は避けるように」との勧告を出している。

  • カラガ地方(アグサン・デル・ノルテ州、アグサン・デル・スル州、ディナガット諸島、スリガオ・デル・ノルテ州)※ただしシャルガオ島は除外

日本政府の対応

一方で、日本の外務省は2024年12月19日、ダバオ地方およびミンダナオの一部に関する渡航安全情報を改訂し、危険レベルを引き下げた。

最新の警戒レベルでは、ダバオ地方が「レベル2(不要不急の渡航は止めてください)」から「レベル1(十分注意してください)」に引き下げられている。対象地域は以下のとおりである。

  • ダバオ・オリエンタル州
  • ダバオ・デ・オロ州
  • ダバオ・デル・ノルテ州
  • ダバオ・デル・スル州
  • ダバオ・オクシデンタル州
  • マイ市、タグム市、サマール市、ダバオ市、ディゴス市
  • カガヤン・デ・オロ市、ジャサアン、ビリャヌエバ、タゴロアン
  • スリガオ市、シャルガオ諸島

ミサミス・オリエンタル州およびカミギン州もレベル2からレベル1に引き下げられたが、日本人旅行者に対しては依然として「不要不急の渡航は控えるように」と注意喚起がなされている。

一方、スリガオ・デル・ノルテ州およびサランガニ州東部(マルンゴン、アラベル、マラパタン、グラン)は引き続きレベル2に分類されている。

また、サランガニ州西部(マイトゥム、キアンバ、マーシム)およびBARMMは、依然として「レベル3(渡航は止めてください)」のままである。

マレーシア政府の対応

一方、マレーシア政府は、ミンダナオを含むフィリピン全体に対して、特段の脅威は存在しないとの認識を示している。

ダバオ市に駐在するマレーシア総領事、デディ・ファイサル・ビン・アハマド・サレー氏は、マレーシア政府からはフィリピンに対する否定的な渡航勧告は出されておらず、むしろフィリピン全土への旅行を奨励していると明言した。

【News】観光省ダバオ地方事務所、新しいマビニのダイビングスポットを発表!

【News】ミンダナオ島への渡航勧告を巡り、開発庁がカナダ大使や治安部門と会談へ

【News】ダバオの情報ポータルサイト「ダバオッチ」でサポーター募集開始!

c94f801b2b7c09c2a0f879e7150e1347-300x131.png

ビザ・レンタカー・通訳・翻訳なら | ダバオの日系旅行会社