農業省(以下DA)の担当者は8月22日、フェルディナンド・マルコス大統領(愛称:ボンボン)が選挙時に掲げた公約「米価を1キログラムあたり20ペソに固定する」の実現は現段階では困難であることを明かした。自分達の力ではどうにもならない外的要因が作用しているという。
これは、ムジフ・ハタマン下院副少数党院内総務が、DAの担当者から得た答えである。フェルディナンド・マルコス大統領は、農業大臣も兼任している。DAの来年度予算に関する公聴会で、ハタマン氏は、フィリピンが最適な米自給率に達すれば、マルコス大統領の選挙公約が実現する可能性を尋ねた。しかしレオカディオ・ セバスチャン農業次官はこれに対し、「20ペソではないが、少なくとも手の届く低価格を維持することはできる。値段は相対的なもので、20ペソへの値下げはかなり難しい」と答えた。
セバスチャン氏は、「正直に言うと、1キログラムあたり20ペソへの米価の引き下げを大統領と議論したことはない。値下げは議論に含まれたが、20ペソは含まれない」と明かした。
また、メルセディタ・ソンビラ農業次官は、米価高騰は国際的な価格上昇の影響など「コントロールできない」さまざまな要因によるものだとした。同氏はさらに、昨年の籾米の価格上昇は農業投入コストの上昇によるものだと語った。
フィリピン国内では、伝統的に、米の販売価格は農家出荷価格の2倍とされている。フィリピン統計局(PSA)によると、2023年5月時点での籾米の農家出荷価格は1キログラムあたり19.06ペソで、1年前の17.24ペソから10.4%上昇した。つまり市場価格は38.12ペソとなり、大統領が掲げた公約の約2倍の価格である。
農業生産性の向上は農家にとって必要不可欠だが、一方で消費者の懐は米価上昇によって冷え込む一方だ。特に今年はエルニーニョ現象による終了現象が懸念されている。公約に盛り込まれているからには、任期終了までに実現されるかが以降の政権を選択する指標の1つとなるだろう。