フィリピン共和国のロドリゴ・ドゥテルテ前大統領は17日、北京の釣魚台国賓館で中国の習近平総書記と会談した。
この会談は、フェルディナンド・マルコス(愛称:ボンボン)現大統領が2度目の施政方針演説(SONA)を行うちょうど1週間前に行われた。マルコス政権はここのところ、米国との関係を活性化させており、5月1日にはバイデン米大統領がホワイトハウスでマルコス大統領を歓迎したばかりだ。
会談で習総書記は、ドゥテルテ前大統領が2016年から2022年までの在任期間中に中国とフィリピンの二国間関係を改善したことを称賛したという。二国間関係が正しい軌道に乗り、繁栄することができたのは、ドゥテルテ氏が両国の友好交流に重要な貢献をしたことの証である、と中国国営メディアの新華社が報じた。
新華社によると、ドゥテルテ氏はまた、中国の「フィリピンの経済・社会発展への貴重な支援」に感謝したという。ドゥテルテ氏は、両国間の友好関係の発展は「両国民の利益に資するものであり、フィリピン国民の大多数の願望に合致する」と述べたとのことだ。
ドゥテルテ氏は、中国との二国間友好の促進に貢献し続けることを約束したという。同氏は2016年の大統領就任当初、米国が彼の違法薬物撲滅キャンペーンを批判した後、中国に軸足を移した。彼は米国を訪問することなく6年間の任期を終えた。
米中の間に緊張が高まる中、マルコス大統領は4月、防衛協力強化協定(以下EDCA)に基づき、米軍が共同訓練のためにアクセスできるフィリピン国内の土地を4ヶ所追加すると発表した。
既存の最初の4ヶ所(セブ、カガヤンデオロ、ヌエバエシハ、パラワン、パンパンガ)に加え、カガヤン州のカミロ・オシアス海軍基地とラルロ空港、イサベラ州ガムのキャンプ・メルチョール・デラクルス、パラワン州のバラバック島の4ヶ所で、フィリピンのEDCA拠点は合計4ヶ所となった。
マルコス大統領は米国、ドゥテルテ前大統領は中国と、相反する外交政策を採っているようにも、それによってバランスを保っているようにも見える。米中のような大国を相手取った外交は、国の命運に直接関わってくるため、どちらも蔑ろにすることは実質不可能だ。農作物などの輸出先としても人々の暮らしに関わる相手であるため、今後の動向にもそれぞれ注意が必要だ。