デルタ株と思われる影響が、ダバオ市の南フィリピン医療センター(SPMC)にも出てきているようだ。同病院には多くの患者が治療を受けるために来ており、病床も満床状態が続いている。ダバオ市の新型コロナウイルス対応は、現在どうなっているのだろうか?
SPMCのRichardo Audan院長は、病院がCovid-19の患者であふれかえるのはこれが初めてではないが、重症患者の数は前回の感染のピークと比べて増えていると述べた。そして、「これはデルタ株が何かしら関与しています。感染をめぐる状況が早くなっており、患者もさらに増えています。ですから、デルタ株の影響でしょう」と語った。他国同様、ダバオ市にもデルタ株の影響が見られるようになっているようだ。
また、重症患者のほとんどはワクチンをまだ接種しておらず、病床もICU病床もCovid-19患者で満床の状態が続いていることが分かっている。8月30日現在、Covid-19病床448床、ICU病床92床はともに満床の状態だ。
しかしながら、インドやフィリピンの一部で見られたような医療崩壊には至っていないと、Audan院長は述べている。院長によると、フィリピン国公共事業道路省が建設した仮設病棟の44の病床により、病院の救急治療室で混雑した患者への治療ができているという。仮設病床ができる前は治療を求めて病院前に長蛇の列ができることもあったが、現在は患者全員を受け入れることができているようだ。
しかしながら、SPMCで受け入れができない場合、ダバオ市内の私立病院もしくはタグム市ダバオ地方医療センター(Davao Regional Medical Center)へ移送することになるかもしれないという。状況が悪化すれば、ダバオ市や保健省が、私立病院にもCovid-19病床を確保するよう要請していく予定だ。
また、酸素についてはSPMCで生成できるのは1日あたり875本の酸素タンクだが、実際に必要なのは1日あたり1,125本で不足してしまう。そのため、その差である250本を一般企業から調達して補っている状態となっている。さらに、人手不足も課題となっており、SPMCでは他の部署もCovid-19対応に当てて対応している。Covid-19に職員が感染するリスクもあるが、全員がワクチン接種を終えているため、症状はわずかに収まっているという。
いよいよダバオ市にもデルタ株の影響が出てきた。感染対策となるのは一人ひとりの意識と行動だ。Audan院長も、市民に基本的な感染対策に継続して取り組んでほしい、このことが周りの人だけでなく医療従事者の支援になるとコメントしている。デルタ株が猛威を振るい始めても、市民一人ひとりがこれまでの感染対策を継続することが重要だ。
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