フィリピン人の若い看護師が世界的賞を受賞する快挙を果たした。ダバオ市出身の32歳の看護師であるDan Lester Dabon氏は、世界の中で素晴らしい医療従事者100名に選ばれた。今回は、この賞の概要や、これまでのDabon氏の功績をお伝えしていきたい。
「DLD Healthcare Consulting Service」という施設を開業し、同施設の最高経営責任者(CEO)でもあるDabon氏は、アメリカ合衆国ラスベガスのMGM Grand Hotelでおこなわれた式典にて、「International Forum on Advancements in Healthcare (IFAH)」から2020年度の世界の中で素晴らしい医療従事者100名に選ばれたことを表彰された。Dabon氏は唯一のフィリピン人であっただけでなく、100名の中で最年少でもあった。
今回の受賞に際し、Dabon氏は、「認めてもらおうとやっているわけじゃ本当にないんです。認められたのは単なるおまけです。私を突き動かしているのは愛しているもの、情熱をもてるものを追求しようという気持ちであって、それがフィリピンの医療水準を国際的なものにできればと思います」と語った。Dabon氏は、今回受賞した人たちのほとんどは50代であったため、受賞者になるとは思っていなかったという。
今回Dabon氏を表彰したIFAHは世界でも最高峰の医療に関する会議で、医療業界の最新の革新的技術を探究する研究者が集まる場所だ。そして、毎年表彰する100名は、全体的な広がり、医療業界への影響、革新にかける想い、先見性、そしてマーケットの需要の五観点で決定される。Dabon氏の功績は、この五観点と照らし合わせてどのように評価されたのだろうか?
Dabon氏はダバオ市のBrokenshire大学看護学科を2010年に卒業し、その後Davao Doctors病院で1年間勤務した。その後2011年にアラブ首長国連邦のアブダビに移ると、2012年から看護助手として勤務を開始した。Dabon氏が働いたのはアブダビにある世界的にも設備の整ったヘルスケア施設だった。ここでの経験が、ヘルスケアコンサルティング会社を立ち上げることにつながり、アブダビの地に「DLD Healthcare」を創立した。その間、同業である医療従事者の手伝いをしたり、アブダビの医療従事者がつながれるようにFacebookページを作成したりと、Dabon氏は常に行動を止めなかった。2018年にはアブダビの大学で修士を取りヘルスケアへの理解を深めると、翌年2019年にはフィリピンに会社を設立した。この日は、Araw ng Dabawの記念日と重なっていた。現在、アブダビとフィリピンでヘルスケアマネジメント事業をおこなうことで、多くの人を救っている。
Dabon氏は、アブダビやダバオで多くの人に必要とされると同時に、現在はアブダビの政府組織で新型コロナウイルスのリスクマネジメントを担当している。コロナ禍を経験してヘルスケアの世界的視点が変わったとDabon氏は考えており、これからはビジネスというよりも、質や患者の安全がさらに求められると考えている。
Dabon氏は、「自分のすることを受け止め、大切にすべきです。そして、常に挑戦するすべきです」と語った。Dabon氏がたくさんの人に必要とされ、世界でも認められたのには、この「自分への信頼」と「行動力」が裏付けされているのだろう。