新型コロナウイルスの感染だけでなく、ダバオ地方では「アフリカ豚熱(ASF)」の感染も問題となっている。ダバオ地方でASFの感染事例が見つかってから既に1年以上経っているが、ダバオ農業省(Da-Davao)は、まだ「感染が収束したとはいえない」とコメントしている。
オンライン記者会見に出席したダバオ農業省のArmie Capuyan氏は、「現時点で、家畜数を戻そうとしている地域もありますが、まだASFの感染が収束したとは宣言していません」とコメントした。Capuyan氏によると、2020年1月にダバオ地方で初めてASFが見つかってから、7月13日現在で49,315頭の家畜用豚が処分されたことが分かっている。また、この疫病の感染拡大を阻止するため、43の市町村および235のバランガイに存在する10,652軒の農家が家畜用豚を強制的に殺処分しなければならなかった。
そして今もなおASF感染の報告は続いており、最近ではダバオデルサル州の一部地域、およびダバオデオロ州の商用牧場1箇所から報告が出ている。これら感染事例がある地域では、現在家畜を殺処分しているところだという。
ダバオ農業省では、以前ASFの感染事例が見られ、多くの家畜用豚を殺処分した地域について、現在も調査を続けていると公式発表を出した。さらに、感染が確認された地域で90日以上ASFが見つからなかった場合に限り、家畜数を戻していくことも示された。現在経過観察をしているのは、ダバオオキシデンタル州の一部地域、ダバオデルサル州、およびダバオ市となっている。さらに、既に殺処分や殺菌処置をおこなった養畜施設では、ASFの追跡をおこなっていることも明らかにされた。
新型コロナウイルスとは異なり、ASFには効果があるワクチンがまだ開発されていない。そのため、感染対策を厳しく取ることがASFから守っていく手段なのだと、Capuyan氏は述べた。
ASFの感染は、フィリピン人がよく口にする豚肉の価格高騰という事象を引き起こしている。ASFのワクチンも開発が実現し、ダバオ地方がASFフリーになることが望まれる。