【コラム】フィリピン最大のタブー「中絶」とお化けの関係 フィリピンに住むなら知っておきたい妖怪図鑑<第二弾>

なんらかの理由でコミュニティから排斥された人、もともとコミュニティの外にいる人が、マナナンガルの疑いをかけられます。この構図は世界中の魔女伝説に非常に似ています。異民族や異教徒や被差別階級の者が「悪」のレッテルを貼られてさらに疎外され、実際に村人たちに惨殺されるような出来事は歴史上何度も起こってきました。自分たちのコミュニティを守るために「他者」を利用するのは、人類の知恵ではありますが、行きすぎない程度にしたいものです。

©Shinya Sawamura

以上、それぞれのおばけについて「実はこういう事情で生み出されたものなんじゃないかな」という考察をしてきました。宗教も、おばけも、おまじないも、私は「人がそれを求めたから」存在するのだと思っています。現代の日本の常識の中で育った身で、宗教やおばけやおまじない、そのものを信じることは難しいかもしれませんが、それを求めた人たちの気持ちを大切にし、リスペクトすることはできるはずです。まずはフィリピンの人と、おばけの話をしてみましょう。日本にはこんなおばけがいるんだよ、という話はものすごく盛り上がりますよ!