【コラム】フィリピン最大のタブー「中絶」とお化けの関係 フィリピンに住むなら知っておきたい妖怪図鑑<第二弾>

さて、フィリピンのカプレですが、コイツは人を襲ったりはしないようです。ただ、「よそ者が山に入り込むと道に迷わせる」という悪戯をしかけることもあるそうです。ちなみに私は10年以上前に友人たちと一緒にアポ山に登ったんですが、途中で道に迷って数日間山中をさまよいました。

「これ、まずいんじゃない?」と思っていたらフィリピン人の1人が「これは化け物のしわざだ、みんな、Tシャツを裏返しに着ろ」というので、そういうおまじないは嫌いじゃないぞ、と言うとおりにしたら、本当に道を見つけて降りて来ることができました。

山で道に迷った時に「お前のせいだ!」と喧嘩になるのは最悪の展開です。そんなとき、責任をカプレに押し付けられるのはある意味便利ですよね。日本でも「よーうかーいのーせいなのね」なんて歌が流行りましたが、古今東西、人は人間同士の争いを避けるためにこそ、おばけを生み出してきたのかもしれません。

その最たる例ではないか、と思うのが次に紹介する「マナナンガル」です。普段は普通の女性に化けていますが、夜中になると正体を現し、背中から蝙蝠のような翼が生え、上半身と下半身が分離して飛んでいき、妊婦さんのお腹の中にいる赤ちゃんを食べる、という、なんとも禍々しい化け物です。