ミンダナオ島南部の南コタバト州にある先住民族コミュニティ「Adat B’laan」の長老たちは、Adat B’laan文化グループを結成し、文化的知識を若い世代に継承していくための学習プログラムを作り上げた。
この取り組みは、非営利団体GeoChris Foundationが、IT企業Telus International Philippines(以下TIP)に資金面での協力を依頼したことにより可能になった。TIPの役員会は文化学習プログラムをサポートするため、Adat B’laanコミュニティとGeoChris Foundationに対し455,396ペソ(8,464米ドル)の支援金を支払ったという。
GeoChris Foundationは、文化保護活動と若者のボランティア派遣により、少数民族コミュニティにサービスを提供する非営利組織で、TIPはコミュニティボード(役員会)を通じて、教育、健康、環境の分野でアイデアと財政支援を提供する会社だ。
支援金は文化学習プログラムの開発、実施に充てられる。プログラムには信仰、文学の授業や、伝統音楽の一部であるMalem(祈り)、Flalok(子守歌)、Faglung(リュート演奏)、Tambol(太鼓)、Salmagi(銅鑼)、伝統舞踊などの実践学習が含まれる。コミュニティのメンバーは土曜日に開催される学習セッションに参加することが可能だ。
若者への文化伝承に加え、Adat B’laanコミュニティには、いくつかのバランガイ(最小行政区)のB’laanコミュニティから参加者が集まり、より多くの文化的知識を保存する活動が行われているという。
TIPのAdat B’laanコミュニティへの支援は、非営利組織のミンダナオ島先住民族コミュニティへの支援を促すかもしれない。民族の伝統文化を守り続けることで、国の文化的アイデンティティが形成されていくといえる。