【特集】戒厳令後のミンダナオまとめとマラウィ避難民のいま

2017年5月23日の戒厳令発令以来、ダバオッチ編集部は、戒厳令やミンダナオ島の治安についてのまとめをお伝えしてきました。前回の報告から約1ヵ月、戒厳令やマラウィ周辺情報などをまとめたものを、引き続きお知らせします。

【時系列まとめ】

6月2日
ダバオ市、観光客と企業に対して、ガイドライン30項目を公表。

6月4日
ドゥテルテ大統領、モロ民族解放戦線(MNLF)から2,000人の兵士を、政府軍の正式メンバーとしてマラウィ市の戦闘に参加させることを承諾。

6月6日
ダバオ市トリル地区のチェックポイントで、テロリスト集団マウテグループのリーダーであり、マウテ兄弟の父親とみられる老人、カサモラ・マウテとその家族を拘束。テロリズムとの関わりは否定しているが、違法に所持していた拳銃、爆発物、偽IDと多額の現金を押収。

6月7日
拘束されたテログループのリーダー、カサモラ・マウテとその家族をマニラに移送。 ダバオ市内で拘束している場合、仲間のテロリストが救出を目的とした攻撃を仕掛けてくる可能性が高いとして、保安上の理由。

6月9日
マウテ兄弟の母親、ファラナ・ロマート・マウテをラナオ・デル・スールで逮捕。

6月10日
10日現在、マラウィ市民約4万8千家族、 23万人が避難を余儀なくされており、その内、避難所に入所している家族は約4,000家族、18,000人と10%程度のみ。

6月11日
11日現在、138人の武装勢力、40人の政府軍兵士、20人の民間人が戦死と軍が報告。
新たな攻撃があり、礼拝堂にいた少年が亡くなった。
イスラム武装勢力がマラウイ市の戦闘について、誤った情報や宣伝を広めるためにSNSを使用していることが明らかになった。軍はFacebookに該当アカウントの閉鎖を依頼。

6月12日【フィリピン独立記念日】
ダバオ市長は「独立記念日は、フィリピンの先人達が国の主権の為に勇敢に戦ったことに敬意を表す、すばらしい機会。現在のこの国の自由は先祖からの贈りものであり同様に子供達に伝えていくべきである。これまでの功績を無駄にしない為にも、私たちは戦い続ける必要がある」とスピーチ。引き続きテロリストと戦う意思をアピール。
ダバオ市内の公園でNGO団体による「One Love One Mindanao Help Marawi」マラウィ救済チャリティコンサートが開催された。

6月14日
軍は特殊部隊「タスクフォースダバオ」に新たな補助隊員85人を導入。市内やチェックポイントで特殊部隊を支援。

6月15日
マウテグループの爆破犯、モハマド・ノアイム・マウテがカガヤン・デ・オロ市で拘束される。最重要指名手配犯であり、マウテ兄弟の従弟。マラウィ市でアラビア語教師をしていた。
フィリピンの危機管理委員によると、現在、696人の市民がマラウィ市の村の中で孤立状態、26人が行方不明。

6月18日
パナイ島イロイロ市で、マウテ兄弟の姉を含むテロリストメンバー3人を逮捕。

6月19日
マラウィ市内でテロリストの拠点となっていた建物より、メタンフェタミン(覚せい剤)と思われる麻薬物11キロを押収。末端価格で約2億5千万ペソ(約5億円)相当。
19日現在、軍公式発表によると、これまで26人の市民が死亡しており、軍は、200人以上のテロリストを殺害、250人を逮捕した。 社会福祉省発表によると、6月15日の時点で約332,582人(68,109家族)の市民が避難を余儀なくされている状態。

6月21日
マラウィ特殊部隊と国連危機管理委員会は、現時点で軍の66人兵士が死亡、461人が戦闘中に負傷したと報告。テロリストの死亡者は268人。

6月22日
22日現在、5,814 家族、27,093人が政府から何等かの支援を受けているとフィリピン危機管理委員が報告。

6月26日
ラマダン明けを祝う為に休戦。休戦時間中に6人の人質を救助。
軍は、マラウィ市の占拠されているエリアに、少なくともまだ100人以上の人質がおり、現時点で150人以上のマウテ戦闘員がマラウィにいると報告。
26日現在、フィリピン社会福祉省はマラウィ避難民に対し、食品、衛生キット、生活用品、テントなど約8500万ペソ、保健省は、健康診断、予防接種、医薬品、ソーシャルサービス、食料など約5300万ペソを支援。
26日現在、マラウィ避難者の総数は211,881人。内8,325人が避難所に、203,556人は親戚や知人宅に避難している。避難が原因で亡くなった方もいるなど苦しい状況であることをフィリピン危機管理委員が報告。

6月28日
中国、フィリピンに武器を寄付。3,000丁のライフル銃と弾薬3億7千ペソ分を寄贈。

6月29日
中国、マラウィ被害に対し、支援・復興の為の1500万ペソを寄付。
オーストラリア、巡視飛行機の貸し出しと避難民に対し食糧やその他の援助、約 3400万ペソを提供。

6月30日
ドゥテルテ大統領就任1周年。国民調査では約75%の国民がドゥトルテ政権を支持。1年目の記念日を「マラウィで勇敢に戦っている兵士たちと過ごしたい」と発言。

7月2日
軍は、依然としてマラウィ市を占拠しているテロリストとの戦闘で、これまでの政府軍兵士の死者が84人となったことを報告。

7月3日
政府軍は、マラウィ市の主要戦闘地域にて、マウテグループの拠点の支配したと報告。50丁のマシンガンと14の高出力銃器、外国人戦闘員と思われる死体を押収。これまで1717人の市民を救出したが、まだ300〜500人の民間人がマラウィ市に閉じ込められている可能性が高いと報告。
大統領報道官は、3日の時点で、39名の民間人及び336名のテロリストが死亡したこと、高性能銃器402丁が押収されたことを報告。国防長官は、マラウィの復興、再建に向け、各省庁間の特別組織を作成する報告を行った。

7月4日
最高裁、ミンダナオ戒厳令を合法と判断。戒厳令は継続。
保健省、マラウィ避難民の避難先での死亡者が35名になったことを報告。

 

【マラウィ避難民の現在】

マラウイ市の攻撃が行われて以来、これまでに51,651家族、252,282人が避難している。政府のデータによると、3,687家族17,647人が、イリガン、ラナオ・デル・スール、ラナオ・デル・ノルテなど73の避難所に避難。しかしながら、現在でも、80%以上の避難民47,677家族や233,200人は避難先がなく、さまざまな地域の家族や親戚の元に身を寄せている状況である。

避難民は、避難所の混雑したスペースで、セメントの床に薄いマットを敷いただけの場所で寝ているなど、苦しい生活を強いられている。救援物資は届いているが、救援品の食品は十分ではなく、特に子供、妊婦、および授乳中の母親は十分な栄養価が摂取されていない。

また、ほとんどの避難所で衛生面も問題になっており、100以上の家族が、たった1つのトイレを共有して使用するケースも報告されている。さまざまな病気の影響を受けている避難者の数が増えていることも当局が懸念していることのひとつである。

多くの避難所で下痢の症例が見られ、ラナオ・デル・スール保健局は300例を報告。2件の死亡例もある。現時点で、これまでに35名が避難先で様々な理由により死亡していると保健省が伝えている。被害者の心のケアについても、対応が必要である。

危機管理委員会は、避難民4,003人がすでに政府から医療サービスを提供されており、マラウィからの5,814家族、27,093人が、既に政府から、何らかの援助を受けていると、積極的な支援状況を報告している。