フィリピンでは、石油会社がさらなる大幅な値上げを発表したことを受け、燃料価格が近年で最も高い水準の一つに達する見通しとなった。エネルギー省(以下DOE)が明らかにした。
DOEのシャロン・ガリン長官は、2026年3月16日に行われたオンライン記者会見で、前週の店頭価格によっては、ディーゼル価格が3月17日から1リットル当たり最大114ペソに達する可能性があると述べた。
今回の価格調整について、ここ数カ月で最も急激な引き上げの一つであり、主に世界の原油市場の変動や中東における地政学的緊張の高まりが要因だと説明している。
DOEのモニタリングによると、新たな価格調整後、ディーゼルは1リットル当たり95~114ペソ、ガソリンは最大91.60ペソに達する見込みだ。
ガリン長官は、「ガソリンスタンドによって異なります。先週、ディーゼルを70ペソで販売していたところもあれば、90ペソのところもあります。70ペソだった場合は約94ペソまで、90ペソだった場合は114ペソまで上がる可能性があります」と説明した。
DOEは、国際原油価格の動向に基づき、3月17日から23日までの燃料価格上昇の見通しを公表している。
- ディーゼル:1リットルあたり20.40~23.90ペソ値上げ
- ガソリン:1リットルあたり12.90~16.60ペソ値上げ
- 灯油:1リットルあたり6.90~8.90ペソ値上げ
今回の値上げにより、ディーゼル価格は最大で1リットルあたり114.90ペソに達する可能性があり、2022年の世界的エネルギー危機以降で最も高い水準の一つとなる見込みである。
石油会社の段階的な値上げ
国内の主要石油会社も、世界市場の動きに合わせた大幅な値上げを発表している。
今回の価格改定は段階的に実施され、トタルとシーオイルは3月18日から、シェルやペトロン、フライングVなどの小売業者は3月19日までに順次適用される予定である。
トタルエナジーズ
- ガソリン:1リットルあたり14.10ペソ値上げ
- ディーゼル:1リットルあたり20.70ペソ値上げ
シェル・ピリピナス
- ガソリン:1リットルあたり16.20ペソ値上げ
- ディーゼル:1リットルあたり23.90ペソ値上げ
- 灯油:1リットルあたり6.90ペソ値上げ
シーオイル・フィリピン
- ガソリン:1リットルあたり16.20ペソ値上げ
- ディーゼル:1リットルあたり23.30ペソ値上げ
地域差も影響
DOEは、マニラ首都圏など都市部と遠隔地では、物流コストの違いにより価格差が生じる可能性があると指摘した。
特にバタネス州のような離島では、本土から燃料を輸送する必要があるため、価格が高くなる傾向があるという。
フィリピンの燃料市場は、石油自由化法に基づく規制緩和制度の下で運営されており、各社が市場動向に応じて価格を設定している。このため、小売価格は在庫状況や流通コスト、改定のタイミングなどに左右される。
中東情勢が背景
今回の価格上昇は、中東情勢の緊張が背景にある。DOEは、特に世界的に重要な原油輸送ルートであるホルムズ海峡周辺の不安定化が影響していると説明した。
同海峡は世界の原油供給の約20%が通過する要衝であり、混乱はフィリピンのような輸入国に大きな影響を与える。
米国、イスラエル、イランを巡る緊張も市場の不確実性を高め、原油価格を押し上げている。
供給は当面安定
DOEは、現時点で国内の燃料供給は十分に確保されていると強調した。
在庫は通常水準を維持しているが、企業や消費者による買いだめが発生すれば、供給に影響が出る可能性がある。
ガリン長官は、「買いだめは予測できないリスクであり、特に公共交通(PUV)などに影響を及ぼす」として、冷静な対応を呼びかけた。
ディーゼル依存度の高い公共交通機関は、今回の価格上昇の影響を最も受ける分野とみられ、運輸団体は運賃引き上げの可能性にも言及している。
今後の供給リスク
DOEは今後数カ月の供給状況も注視している。
地政学的緊張がさらに高まれば、4月下旬から5月にかけて供給に影響が出る可能性がある。
一部の海外供給業者は契約の見直しや延期を検討しており、中東からの供給が混乱すれば、燃料価格やインフレ、物流コストへの影響が懸念される。
DOEは引き続き石油会社と連携し、安定供給の確保と買いだめ抑制に取り組む方針だ。






