中東における緊張の高まりが、世界のエネルギー市場に波紋を広げている。フィリピン国内でも、今後数か月の間に電気料金や燃料価格が上昇する懸念が出てきた。
フィリピン国内第3位の配電会社であるダバオ・ライト・アンド・パワー社(以下ダバオ・ライト)は、主要な産油地域の不安定化が世界の燃料価格を押し上げる可能性があると警告している。これが最終的に、現地の電気料金に反映される可能性があるという。
2026年3月3日、ダバオ・ライトの広報担当者フェルミン・エディロン氏は取材に対し、「中東の動向は歴史的に世界の燃料市場に直接的な影響を与えてきました。世界市場で燃料が値上がりすれば、電気料金にも影響が及ぶ可能性が高く、今のうちに準備を整えておくことが重要です」と述べた。
電気料金への影響
中東は世界の石油供給の中心であり、サウジアラビアやイランなどが大きなシェアを占めている。最近の米国とイランを巡る緊張や、ホルムズ海峡などの輸送路における安全上の懸念が、ドバイ原油などの価格変動を引き起こしている。
フィリピンは石油需要の90%以上を輸入に依存しており、外部からの供給ショックに非常に脆弱である。世界の石油市場は相互に連結しているため、主要な輸送路での供給遮断や脅威は、世界的な在庫不足を招き、価格を押し上げる。
燃料価格の上昇は、重油やディーゼルで作動する発電所のコスト増に直結する。これらのコストは「発電料金」として消費者の電気料金に転嫁される仕組みだ。
ダバオ・ライトのエディロン氏は、早ければ3月から影響が出始め、4月にはより顕著な調整が行われる可能性が高いと指摘した。
3月は一時的に値下げ
リスクはあるものの、ダバオ・ライトの2026年2月11日から3月11日までの請求分については、電気料金が引き下げられる。フィリピン卸売電力市場(以下WESM)の価格下落により、1kWhあたり1.42ペソ下がり、10.30ペソとなった。
しかし、この減額は一時的なものとなる可能性がある。エディロン氏は、中東情勢の影響は3月には限定的だが、4月にはより大きな影響が出ると説明した。
燃料価格の高騰と政府の対応
燃料小売業者はすでに値上げを開始している。シーオイル、ジェッティ・ペトロリアム、カルテックス、ペトロンなどの各社は、ディーゼルで1.20ペソ、灯油で1.50ペソの値上げを発表した。ディーゼルの値上げは10週連続となる。
これを受け、陸上交通許認可規制委員会(LTFRB:Land Transportation Franchising and Regulatory Board)は、公共交通機関の暫定的な運賃引き上げを検討している。
また、エネルギー省(DOE)石油産業管理局のリノ・アバッド局長は、ドバイ原油が1バレルあたり20ドル上昇すれば、ポンプ価格が7〜10ペソ上がる可能性があると警告した。
政府は農業省(DA)などと連携し、燃料補助金の支給を検討している。ガイドラインによれば、ドバイ原油の平均価格が1か月間80ドルを超えた場合、運転手や農家への補助金が支給されることになっている。
物価監視の継続
現在、ダバオ地方における消費財価格への直接的な影響は確認されていない。
貿易産業省(DTI)ダバオ地方事務所の主幹、アリエル・ネンガスカ氏は、燃料や生活必需品の価格を注意深く監視していると述べ、緊急時に備え、いつでも対応できる態勢を整えていると付け加えた。






