2025年10月10日、フィリピン海溝近くのダバオ・オリエンタル州マナイを襲った一連の地震を受け、ダバオ地方の複数の州および自治体が災害事態を宣言した。
マグニチュード7.4および6.8の連続地震は、フィリピン火山地震研究所（Phivolcs）により「連続双発地震（Doublet earthquakes）」と分類され、広範囲に甚大な被害をもたらした。この地震により大規模な住民避難が発生し、被災地域では観光活動も一時的に中止された。
ダバオ・オリエンタル州政府は10月11日、州全域を災害事態宣言下に置く決定を下した。数十年ぶりの大地震により、震源地のマナイをはじめカラガ、バガンガ、タラゴナ各町が壊滅的な被害を受けたことを踏まえたものである。これらの自治体もそれぞれ独自に災害事態を宣言し、救援活動の迅速化および災害対応資金の迅速な供給に努めている。
ダバオ・デル・ノルテ州では、エドウィン・ジュバヒブ知事が同様に災害事態を宣言し、州政府が国の機関や地元関係者と協力して被災家庭の支援および日常生活の早期回復に努めていると住民に伝えた。
病院は厳しい状況も稼働続ける
マナイ地区病院は、沿岸部の町で唯一の公立病院だが、緊急治療室の天井が崩落し主要建物にはひび割れが広がるなど大きな被害を受けた。患者は安全確保のため近隣の空き地へ迅速に移送された。
保健省（以下DOH）ダバオ地方事務所によると、ほとんどの病院は稼働を続けているものの、マナイ地区病院は機能を停止している。10月12日時点で地域の死者数は8人に達している。
ダバオ・オリエンタル州では、3人の死亡が確認され、330人が治療を受けて退院した。ダバオ・デ・オロ州では坑道崩落により3人の鉱山労働者が死亡し、40人が負傷した。ダバオ市およびダバオ・オクシデンタル州でもそれぞれ1人の死亡が報告されている。
ダバオ・オリエンタル州の広報担当官ラヴェラ・タクダー氏は、州医療センターが引き続き機能していると述べた一方、「DOPHマナイ（Davao Oriental Provincial Hospital Manay）には多くの損傷やひび割れがあり、一部の患者はマナイの総合保健センターへ移送されています」と語った。
DOHは、被災地域を「ブルーコードアラート（医療非常事態警報）」に指定し、緊急対策センターを稼働、医療チームや物資、物資供給のための支援チームを被災地に派遣した。
救援活動および支援が進行中
社会福祉開発省（以下DSWD）ダバオ支部は、ダバオ・オリエンタル州の被災家族に合計2,730万ペソの支援を実施したと報告。ダバオ地方災害リスク軽減管理局（RDRRMC-Davao）によれば、10自治体と93バランガイ（行政区）が被災し、66,657世帯、282,323人が影響を受けている。
最新の集計では1,345世帯（6,120人）が避難所で生活。少なくとも278軒の住宅が全壊、912軒が一部損壊した。
ダバオ・デ・オロ州では、DSWDが117万ペソの緊急支援を提供し、4町の699世帯に2,000パックの家族用食料品を配布。全体でダバオ・オリエンタル、ダバオ・デル・ノルテ、ダバオ・デ・オロにて2,730万ペソ相当の支援を行っている。
観光地は一時的に閉鎖
観光省ダバオ地方事務所（以下DOT-Davao）は、複数の観光スポットおよび宿泊施設に被害が出たと報告。被害があったのは、ダバオ・オリエンタル州バガンガで6箇所、サマル島のアイランド・ガーデン・シティで1箇所とのこと。
観光客に負傷者は出ていないが、リゾート勤務の観光関連労働者349人が被災し、DSWDに名簿が提出され金銭・生活支援の対象となった。
予防措置として、アポ山登山、ダバオ・オリエンタル・ウェルカムパーク、アリワグワグ滝自然公園、ハミギタン山自然科学ミュージアム、ケープ・サン・アグスティン、スバンガン博物館、プサン・ポイント、ダバオ国立博物館などの主要観光地での観光活動を一時停止。
DOT-Davaoは、「関係者および地域社会に対し、観光省は国および地方当局と緊密に連携し、被災労働者支援と安全確認後の観光業早期復旧に努める」と声明。
当局は公式注意報の遵守と未確認情報の拡散防止を呼びかけており、ダバオ地方全体で復興活動が進められている。
