フィリピンココナッツ庁(以下PCA)は、国内のバイオディーゼル混合義務の全面停止案に対し、強い反対姿勢を示した。政策が変更された場合、ココナッツ産業および数百万人の農家に深刻な影響が及ぶおそれがあると警告している。
この停止案は、世界的な原油価格の高騰を受け、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領が、国内産バイオ燃料の使用義務を1年間停止する法案の成立を目指していることを背景に浮上したものである。安価な輸入バイオ燃料の使用を可能にすることで、燃料コストの抑制を図る狙いがある。
しかしPCAは、現行のバイオディーゼル政策が国内市場におけるココナッツ油の重要な需要源であると強調した。地元で生産されるココナッツ由来メチルエステル(CME:Coconut Methyl Ester)を、より安価な輸入パーム由来メチルエステル(PME:Palm Methyl Ester)に置き換えた場合、国内のココナッツ供給が余剰となり、輸出市場への依存が高まると指摘している。
その結果、コプラ(乾燥ココナッツ果肉)の国内価格が急落し、産業の中でも特に脆弱な立場にあるココナッツ農家に深刻な打撃を与える可能性があるとしている。
さらにPCAは、義務停止により国内の生産施設14カ所が影響を受け、数千人規模の雇用が失われるおそれがあるとも警告した。
PCAは全面停止ではなく、「慎重かつ段階的な調整」を提案している。現在、ディーゼル燃料に対して義務付けられているCME混合率3%の維持を基本としつつ、市場環境が悪化した場合には、完全停止ではなく2%への引き下げを検討すべきだとした。
一方で、国内の加工能力は最大7%までの混合率引き上げにも対応可能であるとし、今後の政策判断次第ではさらなる活用の余地があるとしている。
またPCAは、ココナッツ由来のバイオ燃料は、輸入パーム由来燃料と比較して環境面でも優れている点を強調した。






