フィリピン・イーグル財団(以下PEF)は、絶滅危惧種であるフィリピンワシの保護を目的に、国内に存在するすべての古来の営巣地を特定する取り組みを進めている。今回、北スリガオ州ギガキット町で新たなフィリピンワシ(学名:Pithecophaga jefferyi)の活動中の営巣地が確認されたことを受け、PEFは調査をさらに強化する方針である。
PEFの研究・保全担当ディレクター、ジェイソン・イバニェス氏は、2026年3月2日にバランガイ(行政区)シコシコで行われたイベントで、「今回の発見を契機に、地方自治体や先住民族、地域住民と連携しながら、国内のすべての古来の営巣地を特定していきたい」と語った。
イバニェス氏は、「フィリピンワシが本来の生息地で安全に繁殖できる環境を守ることは、道義的にも重要です。それこそが私たちの目標です」と強調した。
イバニェス氏によると、フィリピンワシの営巣地は古くから代々受け継がれてきた場所であり、種の存続のためにはこれらの場所を保護し、ワシが安全に産卵し繁殖できる環境を確保する必要があるという。
PEFは2020年、ギガキット町バランガイ・マハヌブのシティオ・バヨボで若いフィリピンワシを救助した。この個体は後に「バリカタン(Balikatan)」と名付けられた。救助された場所から、近くに親鳥がいる可能性が高いと考えられた。
その後、PEFはギガキット町の環境天然資源事務所(Menro)およびトゥボド地方の環境天然資源局(CENRO)と協力し、約5年にわたる調査の末、ついにバリカタンの親鳥を発見することに成功した。
フィリピンワシは、国際自然保護連合(以下IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧ⅠA類(CR)」に指定されており、世界でも最も希少な猛禽類の一つとされている。野生下での個体数は約400つがい、あるいはそれ以下と推定されている。
また、北スリガオ州のヒロンヒロン山の森林では、希少種「ミンダナオ・ブリーディングハート(学名:Gallicolumba crinigera)」の姿も確認された。この鳥は地上性で、フィリピン固有種であり、胸部にある赤い斑点が特徴である。目撃例は非常に少ないことで知られている。
同日、PEFとギガキット町は共同で「Wildlife is Here in Gigaquit(ギガキットには野生生物が息づいている)」キャンペーンを開始した。イベントでは写真展示のほか、ラシカム・ペラル国立高校の生徒を対象にした環境教育活動が行われ、孵化しなかったフィリピンワシの卵の展示も行われた。
鳥を守ることは環境を守ること
カンティラン銀行の社長兼CEOであり、フィリピン・イーグル財団(PEF)の元理事であるウィリアム・K・ホッチキス氏は、フィリピンワシは生態系の回復力を象徴する存在であり、その生息は健全で豊かな森林の証しであると述べた。
また、フィリピンワシの保護は流域の保全にも直結すると指摘し、国鳥を守ることは単なる野生生物保護ではなく、水資源保全の戦略でもあるという。
ホッチキス氏は、ヒロンヒロン山の重要性にも言及した。ヒロンヒロン山は、ミンダナオ北東部を台風から守る自然の防壁となっており、周辺地域へ流れる河川の水源を支えている。また、フィリピン有数の生物多様性を有する地域でもある。
ホッチキス氏は、「この山を守ることは、カラガ地方の生態系の基盤を守ることにほかならない」と述べ、さらに、ギガキット町が「フィリピンワシ」と「ミンダナオ・ブリーディングハート」を自治体の象徴種に指定したことについて、「両種はこの地方の森林が持つ強さと脆さを象徴している」と評価した。
「これらの種を自治体の象徴に指定したことは、生物多様性を地域のアイデンティティとして位置付け、環境保全を政策として推進していくという強い意思を示すものだ」と語った。
鉱山開発への反対
州内では鉱山開発が森林への脅威となり続けているが、ギガキット町は採掘を禁止している。この方針は、生態系の安全を優先する自治体の姿勢を示すものである。
ホッチキス氏は、ギガキットの森林と流域を守ることは、農業、漁業、観光、そして地域住民の長期的な福祉を守ることにもつながると話し、「ギガキットは、上流域の自治体のモデルとなりつつある。持続可能性は開発に反するものではなく、賢明な開発なのである」と述べた。
ギガキット町は、バオイ流域や森林、そして新たに確認されたフィリピンワシの営巣地を守るため、鉱山開発に強く反対する姿勢を示している。






