【News】ダバオ市で「BANCON 2025」開催へーフィリピンバナナ産業の再生に期待

バナナ
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バナナ産業が、引き続きダバオの経済をけん引する中、地元の生産者や輸出業者が再び一堂に会し、フィリピンの果物市場における地位強化を目指している。害虫や気候変動、国際競争などの課題があるものの、業界関係者は期待を持ちつつ、今年最も注目されるイベントの一つ「BANCON 2025(Banana Conference and Trade Exhibit:バナナ会議・展示会 )」の準備を進めている。

このイベントは、フィリピン輸出業者連合ダバオ支部(以下Philexport Davao:Philippine Exporters Confederation–Davao Region)と、フィリピンバナナ産業評議会(PhilBana Council:Philippine Banana Council)が共催し、11月5日と6日にダバオ市のSMXコンベンションセンター(SMラナン)で開催される。400人以上の生産者、輸出業者、加工業者、取引業者が参加予定だ。

Philexport Davaoの事務局長マリゾン・ロレト氏は、「BANCON 2025」の開催目的は、業界再生に向けた施策を策定するため、民間企業と政府の連携を強化することだと述べた。昨年のイベント同様、新技術や支援サービス、バナナを使った製品も紹介される予定である。

基盤強化への取り組み

フィリピンは、かつてアジア最大のバナナ輸出国だったが、過去10年間で市場シェアは着実に減少している。フィリピン・バナナ生産者輸出業者協会(PBGEA:Pilipino Banana Growers and Exporters Association)のスティーブン・アンティグ事務局長は、東南アジアやラテンアメリカの生産者との競争により、国内の優位性が低下していると述べている。また、生産と輸出は害虫、気候変動、コスト上昇の影響も受けている。

一方、ミンダナオ・バナナ農家輸出業者協会(MBFEA:Mindanao Banana Farmers and Exporters Association)のウィリアム・カストロ会長は、ミンダナオのキャベンディッシュ種バナナ栽培が、ほぼ半減したと語った。

カストロ氏は、10月8日に開催された「ハビ・アット・カペ」メディアフォーラムにて、「ミンダナオの8万ヘクタール以上のキャベンディッシュ生産面積が、約40〜50%にまで減少している。だからこそ『BANCON』のようなイベントが重要であり、生産者が農園を維持し、世界市場での地位を取り戻す助けとなるのだ」と話した。

さらに、フィリピンの中国向けバナナ輸出シェアが現在27%であり、業界関係者はイノベーションと政策支援を通じてそのシェア拡大を目指していると述べた。

バナナ産業の勢いは健在

生産上の課題があるものの、ダバオ地方は依然として国内バナナ産業の中心地である。フィリピン統計局(PSA)のデータによると、2024年の同地域における果物総生産量に占めるバナナの割合は94.8%で、319万メートルトンに達した。これは前年の327万メートルトンからやや減少している。

2023年、バナナの輸出額は11億9,000万米ドルに達し、地域全体の輸出額のほぼ半分(48.18%)を占めた。しかし、国連食糧農業機関(FAO)は2024年の国内バナナ輸出が2.97%減少したと報告しており、とくに小規模農家でのパナマ病(フザリウム萎凋病)による被害が悪化している。

2024年の教訓

フィリピン貿易産業省ダバオ支部(以下DTI-Davao)によると、2024年にはバナナ産業分野に、2億3,500万ペソの新規投資が行われ、約1,000の雇用が創出され、輸出能力の拡大が図られた。しかし、資本や病害管理が限られる小規模農家は依然として困難に直面している。

ベトナムの中国向けバナナ輸出は、昨年ほぼ24%増加した一方、フィリピンの輸出は30%以上減少し、中国市場におけるフィリピンのシェアは2017年の70%から2024年には27.47%にまで落ち込んだ。

業界リーダーは、作物保険導入、研究資金拡充、大規模農業を制限する農地政策改革など、政府の支援強化を改めて求めている。

転換点

Philexport Davaoが、「BANCON」の開催を主導し続けていることは、業界の結束力を示している。本会議は、病害に強い品種や機械化農業の道具、関税改革、輸出多角化など、実践的な解決策を提示する場となっている。

DTI-Davaoによると、2024年にはバナナの輸出および加工事業に423万米ドルの新規投資が集まった。この数字は、関係者が持続可能性と新技術の導入を推進する中でさらに増加する見込みである。

ダバオが「BANCON 2025」の開催に向け準備を進める中、業界の雰囲気は慎重ながらも楽観的である。長らくミンダナオの繁栄と脆弱性の象徴であったこの産業にとって、本イベントは単なる商談会以上の意味を持ち、復興に向けた共同の取り組みを示している。

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