【特集】フィリピン ダバオで起業する方法 – 失敗しない人材採用を

ダバオ

前回、ダバオで起業する( IT・BPO企業編)と題し、フィリピンで起業を検討される方々が、複雑な手続きや制度を理解し、円滑に起業準備を進められるよう、また、少しでも事業成功の確率を高められるように、起業に関する基礎知識を共有をさせてもらいます。

【ビジネス】フィリピン ダバオで起業する方法( IT・BPO企業編)

今回は、起業、つまり会社設立後、あるいは同時に準備する必要がある、「人材の採用」について書きます。尚、本稿では、個人、あるいは少人数での小規模スタートアップで、IT・BPO系企業を設立しようと検討されている方々向けに書いています。

人材採用の落とし穴

ところで、起業や企業進出のコンサルティング、お手伝いをさせて頂いていると、フィリピンでの人材採用について、理由は様々ですが、大多数の方が難しいと考えておられるようです。また、フィリピン人は使えない等のネガティブなコメントまでする日本人経営者も少なくないことに大変驚いた経験があります。

弊社に関して言えば、フィリピン人スタッフは、全体的に大変優秀でよく働き、意識も高いと認識しているので、そのギャップはどこから来ているのか、それは恐らく最初の段階では、採用のプロセスまたはシステムに問題があるのではないかと考えられます。

フィリピン人の人材を採用するときに、日本語が少し喋れるから、知り合いの紹介だから、いい奴だから(という思い込み)等と安易に採用を決めてはいませんか。また、これだけの給料を出せば満足だろうし、良い人材が集まるだろうと決めつけていませんか。もちろん、すべてのケースでこれらの採用方法が失敗すると考えるのは安易ですが、採用を判断する基準・意図を最初に明確にしておかないといずれ、いずれどこかで軋轢が生じることになります。

人一人を採用するということは、会社の将来を決めると言っても大げさではない重要で大切な決断です。こうしてコラムを書かせて頂いている私も例外ではなく、試行錯誤の繰り返しです。現在は年間1000名以上の応募者の採用プロセスに関わっていますが、起業してまもなくの頃には、採用した複数名のスタッフが突然辞めてしまう、あるいは採用したスタッフが予想を超えた問題を引き起こす等という苦い経験も持ち合わせています。それ故に、このコラム:起業のすゝめ(人材採用編)で、フィリピン人を採用する場合に弊社が心掛けていることを皆様に共有し、それが、少しでも皆様の採用にお役に立てば幸いです。

人材採用の流れ

まずは、フィリピンでの人材採用に関して、基本的なフローを確認しておきましょう。

  1. 募集要項の作成
  2. 募集要項の掲載
  3. 書類選考・筆記試験
  4. 面接(複数回)

上記が最も基本的な採用の流れです。弊社の場合、過去の苦い経験から、さらに体験入社と最終確認という制度を独自に設けていますがこれは別途記述するとして、まずは、募集要項の作成について、述べていきます。

 

募集要項の作成方法

なぜ企業理念を書くべきなのか!?

小規模スタートアップで、IT・BPO系企業を立ち上げようとする場合、この募集要項の作成が非常に大切になることをまず知ってください。特にIT・BPO系企業については、既にアメリカや韓国あるいはEU等の大企業がパイオニアであり、数も多く、比較的高額な給与体系で募集をかけています。同じ土俵で勝負しても意味がない(または勝てない)ので、どういう人材を必要とするのか、どういう人と一緒にやっていきたいと考えているのか、会社の理念やビジョンをしっかりと打ち出す募集要項を作成してください。

例えば弊社の場合、

We, Creative Connections & Commons Inc. (CCC), are a Japanese IT-related company located in Davao City, which offers translation services. Established in 2011, our company aims to provide 1,000 job opportunities to the people of Davao City.(略) Our mission is to create a new story, to produce unique and valuable services utilizing resources in Davao, and to be a company that offers the highest quality of service in the Philippines. We are capable of offering and expanding with these services because we work as a team and make our dreams work.

どういう会社であるか?・・2011年からスタートしたダバオにある日系IT関連の会社で

どんなことを達成していきたいか?・・ダバオに1000人の雇用をつくりたい、フィリピンで一番の品質・サービスを提供したい

どういう人に来てもらいたいか?・・私たちと一緒に夢を実現していける人を探している

とういうことを記載しています。これは、のちに記載しますが面接においても繰り返し、応募者に対して熱く語りかけてほしいところです。

ポイント

募集要項には、会社の「理念」、「ビジョン」の他、会社が成し遂げたい「夢」とそれを成し遂げるために必要なこういう「仲間」を募集しているということをしっかりと記載してください。この段階で、創業者・会社の想いに共鳴して集まってくる人材は少ないかもしれません。ただ、面接などの段階でこういうことを募集要項に記載していますが、どう思いますか等、応募者の本質を確認することに役に立ちます。

やる気がある人!だけではダメ。資格要件はハッキリとキッパリと!

続いては、資格要件も注力して頂きたい項目の一つです。募集する職種での経験の有無、学歴、スキル等がこれに当たりますが、これは外せないという部分はしっかりと、具体的に記載してください。特に学歴や経験、資格等を重視する場合、その旨を記載しておけば、殆どその要件を満たした者しか、応募してきません。これはフィリピンは学歴社会であることと、資格社会であることが関係していると考えていますが、ここでは詳細は省かせて頂きます。但し、あまりに限定された資格要件を記載してしまうと、応募者が極端に少ないという状況にもなるということも申し添えておきます。

ポイント

資格要件はハッキリとキッパリとこれでもかと具体的に記載することが大切。日本のようにやる気のある人、熱意があれば大丈夫!等という抽象的な表現では良い人は集まりにくい。但し、特殊技能で限定しすぎる場合は、応募者が極端に少なくなるので、注意が必要。

 

募集要項の掲載方法

募集要項の掲載は転職サイト・FaceBookを利用せよ!

次に募集要項の掲載ですが、フィリピンでの募集要項の掲載は一般的には新聞、労働省の掲示板や就職説明会、転職支援サイト、SNSの利用等があります。小規模スタートアップで、IT・BPO系企業を立ち上げようとする場合、転職支援サイト、FaceBookの利用等で十分です。この分野での採用の場合、ネットやSNSを利用しない応募者はそもそも資格要件に達していないし、今やインターネット・SNSの普及率はかなり高いのが実情です。それ故、弊社では主に、転職支援サイト・SNSを中心に実施しています。但し、例外もあり、特殊な技術や資格を必要とする職種の場合、自社独自のネットワークも使用することもあります。

 

弊社の実際のケース

応募段階でトラップ!?選考は既に始まっている。

今回のコラムの最後に、弊社の具体的なケースをご紹介させて頂きます。職種にもよりますが、最近、弊社で募集をかけた告知について、7月1日〜10日の10日間で約150件の応募がありました。実は応募が多くありそうな職種の場合、弊社は既に応募の段階で選考を行っています。それが以下です。

How to ApplySend us your resume, with a picture attached to: career@cccjph.com

上記の英文に注目してください。こちらは、募集要項に記載されている応募方法ですが、さりげなく、しかし、しっかりと「写真付き」で履歴書を送付してくださいと表記してあるのが、お分りいただけますか。これは文書を把握する読解力と注意力を試しています。

フィリピンは「紙」文化です。会社経営において、その圧倒的な書類の量に驚かれる方も多いだろうと思います。お役所関係も当然、紙文化であるので、例えば書類に書かれている必要要件が一つ足りないと、再提出なんてことも考えられるわけです。故に書いてあることを正確に理解し、それを実行できるかどうかという基本的な力を応募の段階から確認しています。

余談ですが、見事トラップ?をクリアして、写真付きの履歴書をしっかりと送付してきた応募者の中には、一般の証明写真的なものではなく、携帯電話で自分を撮る、セルフィー写真や、モデルのようなプロフィール写真、愛犬と写っている写真、家族写真などを履歴書に貼り付けてくる応募者もいます。この辺は日本の採用にはなかなか見られない所だと思います。応募について、どういう写真ということは定義していませんので、それは自己アピールの一貫であるという理解で、弊社については、好意的に受け止めていますがその場合、面接などでなぜこの写真を選んだのかは必ず質問するようにしています。

今回は、募集要項の作成、募集要項の掲載について、述べさせて頂きました。

次回記事

【ビジネス】フィリピンダバオで起業する(人材採用編②)

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