ダバオ地方に新型コロナウイルス(Covid-19)感染の波が押し寄せている。5月23日時点で、ダバオ市のCovid-19陽性者数はついに1,000名を超えた。この状況を踏まえ、保健省ダバオ支部およびサラ・ドゥテルテ=カルピオ市長からコメントが出ている。
まず、保健省ダバオ支部は、ダバオ地方でCovid-19の感染拡大が進んでいる原因として、基本的な感染対策に取り組まない人が一部見られることを指摘した。同省のAnnabelle Yumang長官は、大勢で集まる状況や院内感染が主な原因だと指摘した。会社では昼食時に顕著に見られ、上限を超える人々が同室に居座り、マスクやフェイスシールドが正しく着用されていないと述べた。また、院内感染については、陽性者と接触した人たちがCovid-19に感染しており、その原因には医療用マスクなどを正しく着用していない、手洗いなどを怠っているといったものが挙げられると述べた。コロナ禍に入ってから常に訴えかけてきた感染対策に、ここに来て緩みが見られることが感染拡大につながっているようだ。
このような感染対策の緩みは、何も会社や病院だけで見られるものではなくなっていると、Yumang長官は指摘している。警察署、空港、公共市場などの公的な施設でもこの傾向は見られるという。また、ここ最近の感染者数について同氏は言及すると、「2021年5月は陽性者数は700名ほどだったので、喜ばしい状況でした。しかし、それ以降は毎日新規感染者数が3桁となっています」と語った。気の緩みが、実際の数字として感染者増という形で現れてきている。
さて、ダバオ市も5月23日時点の陽性者数は1,015名となった。陽性者数が1,000名を超えるのは2021年2月以降初めてのことだ。この状況を踏まえ、サラ市長は、市の保健所が24日の会議で「ダバオ市は感染拡大が始まっている」と発言したことを明らかにした。そして、「陽性者数が増加しており、その数も3桁になっています。ダバオ市でCovid-19が広がっていることは明らかです」と語った。
また、誕生日パーティーや誰かの家に遊びに行くなどして感染が拡大していると述べると、南フィリピン医療センター(SPMC)も病床が逼迫していることを理由に私立病院にもCovid-19陽性者を受け入れるよう要請していると述べた。
そして、これまでにダバオ市内で728名がCovid-19で亡くなっている事実を取り上げると、「Covid-19は冗談ではない(Covid-19 is not a joke)」と市民に再度警鐘を鳴らした。そして、実際に大切な人を失った家族が728個あるということだ、知り合いがCovid-19にかかっていないというのは誰もウイルスに感染していないとは言えないのだと述べた。さらに、今後さらに感染拡大が進んで隔離レベルを上げるという措置は取りたくないとも述べた。