【News】ミンダナオ鉄道プロジェクト、土地所有者との交渉難航か

ドゥテルテ大統領の任期中に運用開始を目指す「ミンダナオ鉄道プロジェクト」に関して、フィリピン運輸省(DOTr)は一部の土地所有者が依然として土地の提供を拒んでいることを認めた。時間が限られる中、今後どのような対応を検討しているのだろうか?

5月7日、同プロジェクトの責任者であるClipton Solamo弁護士は、現在土地を確保するフェーズに入っていると明らかにした。2021年7~9月には工事に入る計画なので、時間もあまり残されていない状況だ。しかしながらSalamo氏は、土地の獲得が終わればすぐに鉄道建設に着手すると語っている。

そして同氏は、「まだ工事は何も始まっていませんが、お気づきのように、その通知は既にしています。ダバオ地方では、80%が終わっています」と語った。何の通知が80%終わったかというと、土地所有者に所有地の差し押さえをおこなう法的手段の通知が80%終わったということであり、補填さえ支払えば土地の差し押さえが可能というものだった。

しかし、このプロセスが上手く行っていないと語ると、「ほとんどの人は協力的です。既に文書を提出された方もいますが、協力的ではない方もいる。もちろん、政府が土地を差し押さえるというのが容易なことではないことは理解はできます。ただし、このプロジェクトは政府がおこなうものなので、土地所有者は何もできません」と語った。土地は絶対に渡さなければならないという強い姿勢が伺える。また、中にはこれに対抗して同盟を組んでいる人たちもいるようだ。

これらの様子からプロジェクトの遅れが懸念されるが、あくまでプロジェクトをおこなう側は間に合わせる姿勢を貫いている。フィリピン運輸省で同プロジェクトを担当するJames Zozobrado所長は、現在も各地方自治体が土地所有者に納得してもらおうと話し合っているが、もし拒否する状態が続くのなら、プロジェクトに遅れを生じさせないためにも法的手段を行使すると語った。

同プロジェクトが形になればミンダナオ島の移動が便利になるだけでなく、その建設にあたってはコロナ禍で雇用を生むという利点も期待される。しかし、土地所有者から見れば、政府のやり方に納得していない人も一定数いるようだ。