ダバオ市議会は、持続可能な交通の推進に向け、電気自動車(以下EV)の製造業者、販売業者、利用者、公共交通事業者に対する優遇措置を定めた条例案を、第3読会および最終読会で承認した。
条例を提案した環境委員会委員長のテムジン・テック・オカンポ市議は、2026年5月13日、市議会での取材に対し、この条例が「共和国法第11697号(EV産業育成法)」およびダバオ市投資優遇条例に沿ったものであると説明した。
オカンポ市議は「持続可能な交通を本格的に推進し、投資家を呼び込みたい」と述べた。
条例では、対象企業に対し最大6年間の税制優遇措置を付与する。ただし、建築許可などの規制関連手数料は対象外とし、ダバオ市長許可料などの非規制手数料については免除される。
また、EV利用者向けの駐車優遇制度も盛り込まれた。EVおよびハイブリッド車の所有者は、サンペドロ通りやC.M.レクト通りを含む市営指定駐車場において、最大3時間まで無料で駐車できる。
オカンポ市議は、民間施設に同様の優遇措置を義務付けることはできないものの、自主的な導入を呼びかけていると述べた。
条例ではさらに、「EV監視委員会(Electric Vehicle Monitoring Committee)」の設置も定められている。本委員会は、条例施行の調整や評価、政策提言を担い、価格監視や法令順守の確認などを行う。
委員会は市長が委員長を務め、市環境天然資源事務所(CENRO)が副委員長、ダバオ市投資促進センターが事務局を担当する。年間予算は100万ペソで、市の一般会計または補正予算から拠出される。
同条例は今後、市長室に送付され、署名を経て正式に施行される見込みである。なお、承認前からBYD社やVinFast社など複数のEV関連企業がダバオ市への投資に関心を示していたという。
優遇措置の対象となるには、メーカー、組立事業者、販売業者、充電ステーション運営会社、EVバッテリーリサイクル事業者などが、一定の投資額や雇用条件を満たす必要がある。
国内向けメーカーの場合、最低1億ペソの払込資本金と20人以上の雇用が必要となる。輸出向けメーカーは、最低2億ペソの投資、25人以上の雇用、さらに製品の60%以上を輸出することが条件となる。
また、全ての企業はフィリピン投資委員会(BOI)またはフィリピン経済区庁(PEZA)への登録が必要であり、従業員の少なくとも70%をダバオ市民としなければならない。
条例には、使用済みEVバッテリーの適切な廃棄・リサイクルに関する規定も含まれている。これは環境天然資源省(以下DENR)の規則や、「共和国法第6969号(有毒物質、有害廃棄物および核廃棄物管理法)」および「共和国法第9003号(環境適合的固形廃棄物管理法)」に基づくものである。
市内で事業を行う企業は、バッテリー回収およびリサイクルプログラムを構築または参加する必要があり、廃棄・リサイクル作業はDENR認定施設でのみ実施しなければならない。
政府所有EVの利用者についても、使用済みバッテリーをDENRおよびダバオ市政府が認定した回収拠点やリサイクル施設へ引き渡すことが義務付けられる。
違反した場合は、優遇措置の停止・取消、付与済み特典の返還、さらに1,000~5,000ペソの罰金が科される可能性がある。
一方、アル・ライアン・アレハンドレ市議は、EV普及に伴い、利用しやすく信頼性の高い充電インフラ整備が重要な課題だと指摘した。
アレハンドレ市議は特権演説で、「交通拠点、商業施設、高速道路、空港周辺などに戦略的な急速充電器を設置することで、ダバオ市はよりクリーンな交通技術への移行に備えることができる」と述べた。
EV充電事業を展開するElectryx社のマーティン・アンジェロ・T・ハオ氏によると、同社は拡大するEV市場に対応するため、ダバオ市内で充電ステーションの増設を計画している。
現在、リザダ地区で充電ステーションの建設が進められており、将来的には市外展開を見据えつつ、市内の戦略的エリアへの追加設置を検討しているという。
Electryx社は、20~30分で充電可能な120キロワット級の急速充電器の導入も計画している。家庭用充電器では通常7~8時間を要するため、大幅な時間短縮となる。
ハオ氏によると、充電料金は現在1キロワット当たり平均25ペソだが、電力価格により変動する可能性がある。また、今回の条例によってEVの導入コストが軽減され、より多くの消費者のEV移行が進むとの見方を示した。






