フィリピンの有名な童話「Ibong Adarna(伝説の鳥)」。その鳥のモデルと考えられているフィリピントロゴンが、アポ山の熱帯林で目撃された。
環境天然資源省ダバオ地方事務所(以下DENR-Davao)は、7月14日にその写真を公開した。逃げ足の速さで知られるこの鳥は、フィリピンの固有種であり、1941年の映画の元となった伝承「Ibong Adarna」に関連している。
DENR-Davaoによると、フィリピントロゴンのオスは鮮やかな色彩を示すが、メスはマスタードイエローの下腹部とオリーブブラウンの頭部という落ち着いた色合いだという。「昆虫や果実を食べ、木のくぼみに隠れている。人を嫌うため、森林の暗い場所で過ごしている」のだそうだ。
DENR-Davao自然保護開発部(CDD)の保護地域管理・生物多様性保全課(PAMBCS)のプロジェクト支援スタッフ、ケムエル・リブレ・ジュニア氏によると、公開された写真は今年1月に撮影されたものだという。この鳥はフィリピン国内の他の森林でも見られるが、今回は偶然にもハイキング中のアポ山の麓で撮影された。
リブレ氏によると、フィリピントロゴンの個体数は「最低限の懸念」のレベルであるという。しかし、保護活動にもかかわらず、生息地の破壊により個体数は減少し続けている。「生息地での狩猟により、フィリピントロゴンの個体は減少している」と同氏は語り、「環境保全の取り組みが強化されなければ、トロゴンは絶滅の危機に瀕するだろう」と付け加えた。
アポ山は現在オフシーズンで、6月1日から8月31日までトレッキングが禁止されている。これはアポ山自然公園が回復し、自然公園内の動物種が妨害されることなく繁殖できるようにするものであり、大いに役立っているという。また、DENRは山の保護保全を確実にするため、種やフィールドのモニタリング、地域住民への教育キャンペーンも行っている。
さらにリブレ氏は、地元の人々やトレッキング客に、発見した種を乱したり狩ったりしないよう注意を促した。「地元住民の違法行為が発見された場合は、DENRや警察に報告するように」とのことだ。