ミンダナオ島を拠点に活動している新人民軍(New People’s Army:以下NPA)の最重要指名手配犯であるEric John Casilao容疑者が、4月1日にマレーシアで逮捕され、17日にダバオ市に運ばれ、警察に身柄を引き渡された。
Elian、Wally、Chan、Kuyaといった別名でも知られるCasilao容疑者は、南ミンダナオ地方委員会(SMRC)の秘書であり、フィリピン共産党(CPP)や共産主義テロリストグループ(以下CTG)の中央委員とされている。Casilao容疑者はフィリピン軍(AFP)、フィリピン国家警察(PNP)、国家情報調整局(NICA)、入国管理局及び外務省が、マレーシア王立警察(RMP)、マレーシア入国管理局と共同で行った捜査より、2023年に逮捕された。
第10歩兵師団広報室のMark Anthony S. Tito少佐は、報道陣に公開した声明の中で、容疑者はタイのリペ島へ向かうフェリーに搭乗中に逮捕されたと明かした。またCasilao容疑者は、マレーシアでのパスポートの偽造の罪でも問われており、逮捕後はマレーシアの移民法違反で拘束され、2023年4月17日にフィリピンに強制送還されたと発表している。
また、同師団司令官のJose Eriel Niembra少将は、CTGの指導者は国外であっても、安全に滞在し、隠れていられる場所はないと宣言した。「政府は、CTGの指導者やテロリストがどこにいても捉える決意だ」とのことだ。
2018年には、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領が降伏した元戦闘員との会食を行った。その後2020年には新人民軍の幹部がフィリピン軍の作戦で殺害された。今回の逮捕で、NPAの問題がまた一歩前進したと言える。今後の動向にも引き続き目が離せない。