2022年12月12日から13日の2日間、ダバオ市内のピナクルホテルにてバンサモロムスリム自治地域(以下、BARMM)のコーヒー産業ロードマップ策定ワークショップが開催された。日本国際協力機構(JICA)と、BARMMの「Ministry of Trade, Investments and Tourism:以下、MTIT」共催で、バンサモロコーヒー産業の発展を目指し、現状や今後の展望について話し合いが行われた。
ワークショップには、各州のMTIT幹部、ミンダナオ州立大学、各州のコーヒー生産者の評議会、現PMCEI代表で元開発コンサルの太田勝久氏、DUBRIA’s FARM代表で前BACOFA農協組合長のMarivic Dubria氏、現BACOFA Coopマネージャーでコーヒー豆の品評会2位の経験を持つCherry Gil Cabanday氏など、コーヒーを通じて様々な人たちが集まった。
今後のバンサモロコーヒー産業の発展のために、太田氏とDubria氏 は共同でプレゼンを行い、BACOFA農協の成功体験を語った。BACOFAの成功における重要な要因は4つあるという。1つ目に、全国品評会で毎回上位入賞するほどの品質。2つ目に、農協の資源・組織・規範の確立とバイヤーとの関係の構築。3つ目に、個人の力を組織の力へと変貌させたこと。4つ目が、農家の個別ブランディングも許容する柔軟な運営だという。
さらに、JICA時代数々のイスラム教国に来訪した経験もある太田氏によると、キリスト教徒が多数を占めるフィリピンにて、イスラム教徒が多く暮らしているバンサモロはつい最近まで解放戦線などが敷かれていた地域でもあり、そんなバンサモロではコーヒーがキリスト教徒とイスラム教徒を繋ぐ架け橋にもなっているという。
会場では受賞経験のあるBACOFAや南ラオナ州のコーヒーも振る舞われ、時折和やかな雰囲気を見せつつも、バンサモロコーヒー産業の今後のため皆真剣な面持ちでワークショップに臨んでいた。
そんなバンサモロコーヒーは2027年までに世界水準の品質に高めることを目標としており、環境の面でも政治的な面でも持続可能な産業になることを目指している。今後のバンサモロコーヒーの飛躍に期待したい。