プラスチックごみの問題は世界各地の課題であり、日本もまた最近になって買い物袋の有料化に踏み切った。どの人も、買い物に行く際にはバッグを持っていくことが習慣になってきたのではないだろうか。しかし、まだプラスチックごみの影響は残ったままのようだ。Mati市に打ち上げられた鯨は、ビニール袋をいくつも誤飲していた。
5月1日、推定4,000キロにもなる鯨が、ダバオオリエンタル州Mati市の海岸に打ち上げられた。Mati市情報局によると、この鯨はオスのニタリクジラで、絶滅危惧種に指定されている。そして、午後1時ごろにLancaの海岸線に打ち上げられているのが確認された。発見者によるとその時にはまだ鯨は生きていたので、その場に駆けつけた人たちで鯨を海に返そうとしたという。しかし、鯨が重すぎたことや、引き潮の時間と重なったこともあり、海に返すことはできなかった。その後6時半に、この鯨は亡くなった。
5月2日、水産事務局ダバオ支局(Bureau of Fisheries and Aquatic Resources (BFAR)-Davao)や博物館オーナー、警察などが鯨の打ち上げられた場所へ向かい、鯨の確認をおこなった。その結果、この鯨の死因がプラスチックの誤飲であったことが明らかになった。ビニール袋が喉に詰まったことで窒息したこと、第一発見者が喉からビニール袋を引っ張り出したことが分かったという。また、腹部からもビニール袋が見つかっている。その後、 鯨の骨は標本とするためダバオ市に運ばれた。
博物館オーナーであるDarrell Blatchey氏は、ダバオ地方の海岸沿いで他にも海洋生物が死亡した状態で見つかったと述べ、懸念をあらわにした。それらの原因の多くは、海に仕掛けられた網やダイナマイトを用いた漁、そしてプラスチックごみだという。また、プラスチックごみが原因で亡くなるケースは近年では珍しくないとも述べた。同氏は以前に「私たちの国が、そして私たちの海が、既に壊されているということです。そして、現在に至ってはごみによって死んでいる生物もたくさんいるのです」と語っている。
海に漂うごみが、フィリピンのものだけとは限らない。私たちも日本の海を歩けば、様々な国の言葉が書かれた缶やペットボトルなどを見かけるだろう。この出来事は、フィリピンだけの問題ではなく、世界全体の問題である。一人ひとりが可能なことを実行し、海の生物を守っていきたいと思う。