保健省ダバオ支部の、性の問題に特化した健康福祉センター(THE Reproductive Health and Wellness Center:RHWC)では、無料で避妊具(コンドーム)を配布している。バレンタインが近づいていることを受け、望まない妊娠や性病を防ぐねらいがあるという。また、コロナ禍で性感染症に関する新たな問題も発生しているようだ。
同センター長であるJordana Ramiterre医師は、必要なカップルや市民に対し避妊具を継続して配布していると語った。望まない妊娠やヒト免疫不全ウイルス(HIV)、後天性免疫不全症候群(AIDS)などの性病から守る必要があるためだ。そして、これらから身を守るためには、断固とした姿勢、パートナーとの信頼関係、正しい避妊具の使用、そして薬や犯罪に手を出さず、教育を正しくおこなうことが必要だと語った。また、同センターではHIVやAIDSに関する無料のカウンセリングや検査をおこなっているという。
性感染症の問題は、コロナ禍に入りより深刻になっている。ダバオ市に敷かれている外出禁止令により、HIVやAIDSに関する検査や治療などをおこなうことが難しい状況だという。同センターや南フィリピン医療センターにはHIVの検査結果を出すための施設が去年に準備できており、ダバオ地方全体の検査を受け持つ予定となっているが、まだ稼働していない。さらに、該当の検査を受け持つマニラ市内の病院も、現在Covid-19対応に注力しているのが現状で、検査に遅れが生じているという。
フィリピンのHIVおよびAIDS関連の担当省庁による発表では、1984年1月から2020年10月までの間に、81,169人がHIVやAIDSにかかったという。そのうちダバオ地方では4,477人が感染した。そして、2020年11月のデータでは、ダバオ地方の新規感染者数が大幅に減っている。ただし、これについては、前述のとおりに検査が実際におこなわれていないケースも考慮しなければならない。
コロナ禍においても、同感染症の検査や、患者に対するケアは欠かせないものだが、手が行き届いていないのが現状のようだ。