【コラム】ダバオとの出会い~ ダバオを初めて訪れたときのことなど~(5)

次に向かったのが、モンフォート・コウモリ洞窟(Monfort Bat Cave)であった。地面に大きく開いた4つの縦穴洞窟(ほかにも小さな洞窟があったようにも思う)があり、150万匹とも180万匹ともいわれるコウモリが生息している。ここは、2010年のギネスブックでオオコウモリの生息群として世界最大と認定されている。この地面に大きく開いた構造のおかげで、来訪者は縦穴壁面の上部までぎっしりぶら下がっている大量のコウモリを覗き見ることができる。今、旬の表現を借りるなら、とんでもなく“密”な状態である。

4つの縦穴は、繁殖期の若いカップル用、母親による子育て用、オスだけの穴、老年期の隠居用の穴に分かれている。私たちが訪れた時は、隠居用の穴だけは少しコウモリの数が少なく、穴の壁面を見ることができた。これらの竪穴は地下で一つにつながっており成長や用途に応じて移動するといわれている。

生息するコウモリはジョフロワルーセットオオコウモリ(学名:Rousettus amplexicaudatus)で、この種は植物食コウモリ(Fruit and blossom bats)だということである。これだけ多くのコウモリの生息地であるから、仕方のないことではあるが周囲はコウモリのフンの臭いが立ち込めていた。ただ、耐えられないというほどのものではない。これらの多くのコウモリたちも夕刻以降のどこかでこの穴から飛び立つのだろうけれど、それはどんな光景を見せるのだろうかと想像した。