フィリピン政府や教育省が、薬物使用の蔓延を確認するために学校内で無作為に薬物検査を実施する件について、フィリピンの主要な小児科グループは、「有効性を示す十分な証拠がない」と、校内の薬物検査に反対の姿勢を見せている。
フィリピン小児科学会(PPS:Philippine Pediatric Society )は、9月3日の声明で「青少年の薬物使用の対策は、取り組まれなければならない課題であることは認識しているが、尿検査では検出できない物質もあり、学生が検査を潜り抜けようとする可能性もある。まだ検査の有効性がきちんと証明されていない」と話し、「更に深く研究されるべきだ」と主張した。
PPSによると、「学校内の薬物検査では、学生と学校間の守秘義務の侵害や関係性の悪化、誤った解釈によって陽性となってしまう薬物検査の判断ミスなど、いくつかのリスクがある」とのこと。さらに、「このアプローチは、一度薬物を使用していると特定された場合、学校内だけでなく、コミュニティ全体においても過酷な状況にさらされる可能性があり、青少年を傷つける恐れがある」と付け加えた。
教育省(DepEd:Department of Education)、および高等教育委員会(CHED:Commission on Higher Education )の両機関が各々の覚書を発出し、薬物検査を実施する承認を行い次第、学生および教師は、ランダムな薬物検査を受けることになる。
教育省は、今年9月には、基礎教育を受ける学生と教師に、無作為の薬物検査を開始する予定と話しているが、一方で、大学では、薬物検査を実施する「裁量」が残されているとのこと。 高等教育委員会も、「大学には、入学許可および教育方針の一環として、薬物検査を取り入れることを推奨しているだけだ」と述べている。
ダバオ市内では既に検査の実施が決定しているが、政府が、学校内の薬物検査を実施しようとしていることに関しては、計画段階より「学生が政府の薬物撲滅戦争の標的になる恐れがある」と、活動家や人権団体、その他の児童権利擁護団体に強く反対されている。