こんにちは!ダバオッチのとわです!
皆さんは「在外公館派遣員」という制度をご存知でしょうか?あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、実は留学やワーキングホリデーと同じく、海外を志す人にとって一つの選択肢となり得る制度なのです。
今回の「Youは何しにダバオへ?」第12弾では、2025年3月より在ダバオ日本国総領事館に勤務する在外公館派遣員、小野夏海さんにお話を伺いました!
留学やワーホリとは一味違う海外での挑戦。
小野さんの経験を通して、在外公館派遣員という制度の実像、その魅力を紐解いていきます。どうぞ最後までお楽しみください!
在ダバオ日本国総領事館・在外公館派遣員とは
→「在ダバオ日本国総領事館」とは、どのような場所ですか?
総領事館は、大使館がその国の首都に置かれるのに対して、首都とは別の主要都市に設置され、その地方に住む日本人の支援や保護を主な目的としています。
具体的には、パスポートの更新やビザの発行、災害時の安否確認など、より人々の生活に寄り添った業務を担っています。
→「在外公館派遣員」とはどういった制度ですか?
世界各国の日本大使館や総領事館(在外公館)において、一定の期間派遣職員として勤務する制度です。
自分の語学力を生かして、在外公館の運営をサポートする後方支援業務に従事します。表舞台に立つというよりは、「縁の下の力持ち」として現場を支えています。
派遣先公館の一員として、語学力を生かして主に後方支援的な業務に従事する傍ら国際社会での経験を積み友好親善に寄与するもの。
身分:一般社団法人国際交流サービス協会の嘱託職員
任期:原則2年
勤務地:海外の日本国大使館、総領事館、政府代表部等
出典(引用元):一般社団法人 国際交流サービス協会「派遣員とは」(閲覧:2026年2月)
きっかけから選考、赴任まで
→派遣員を目指したきっかけやタイミングを教えてください。
実は就活を始めたのが遅くて、大学4年生の2月でした。当時、休学して1年間、オーストラリアのメルボルンでワーキングホリデーをしていて、帰国したのがその時期でした。
「自分にできること」を考えたとき、大学で専攻した英語を活かしたいという思いと、ワーホリ中の経験が結びつきました。現地の病院で医療通訳の方にお世話になった際、「海外で不安を抱える日本人を支える仕事がしたい」と感じました。英語を使い、在留邦人をサポートできる場所。そう探してたどり着いたのが、総領事館での派遣員という道でした。

→選考はどのように進むのでしょうか?
全プロセスが半年以内で行われる、かなりタイトなスケジュールです。
1. 一次試験: 筆記(語学・一般常識・日本語作文)
2. 二次試験: 面接(面接官5名ほどに対し、1名で回答)
3. 合格通知: 電話で連絡
4. 健康診断・研修: 外務省でのオリエンテーションを経て赴任
→対策はどうされましたか?
正直、あまり対策はしていません(笑)。ただ、募集要項に「外国語の新聞を読んで説明できるレベル」とあったので、長めの新聞の翻訳だけ大学の教授に見てもらいました。
→赴任先がダバオに決まった時の心境は?
第1希望から第5希望まで出すことができて、希望はヨーロッパの方を出していましたが、こだわりはなかったので「どこでも大丈夫です」と伝えていました。合格の電話で「赴任地はダバオです」と言われ、思わずその場でGoogleマップを開いて「どこだろう?」と調べたくらい、予備知識がなかったんです。
12月に合格して、3月には出発。急だったので、母には「(ワーホリから)やっと帰ってきたのに、また行くの?」と心配されました(笑)。
→実際にダバオに来てみて、準備不足を感じたことはありますか?
意外と何でも揃うのですが、「フォーマルな服」を買える場所が少ないなと思います。仕事で使う少しかちっとした服は、日本で用意してきて正解でした。
→ダバオでの1日のタイムスケジュールを教えてください。
朝は8時半から始まります。まずはメールチェックや、前日にリストアップしておいた残務の片付けからスタートします。
私は「官房班(かんぼうはん)」という、事務や会計に近いセクションに所属しています。主な業務はデスクワークで、出張者のホテルの予約や調査業務、公用車の手配などのサポートが中心です。
- 08:30 始業・メール確認・タスク整理
- 12:30 お昼休み(1時間)
- 13:30 午後の業務(イベントの会場予約、出張者の対応など)
- 17:00 終業
(※日によって変動あり)
他の公館では窓口でパスポート更新などの領事事務を担当する派遣員もいますが、ダバオでは官房業務としての後方支援がメインです。
派遣員としての役割、やりがい

→公館の中で、派遣員はどのような役割を担っていると感じますか?
外務省から来た職員の方々と、現地のフィリピン人スタッフの間に立つ「緩衝材」や「橋渡し役」のような存在だと思っています。
職員の方々にとっては同じ日本人として相談しやすい相手であり、現地スタッフにとっても、年齢や立場が近い私の方が接しやすい。そんな存在だと思ってもらえていたら嬉しいです。
→これまでの業務で、特に印象に残っているプロジェクトはありますか?
着任してまだ1ヶ月だった昨年4月、要人がダバオを訪問された際のことです。バイパストンネルの開通式にいらっしゃったのですが、10名以上の視察団をお迎えする大規模な仕事でした。
右も左もわからない中、緊張しながらサポートに徹していたのですが、要人御一行が帰国される際、空港のVIPルームで同行者の方々がわざわざ私のところまで来て「ありがとうございました」と声をかけてくださったんです。派遣員は組織の中では下の方の立場ですが、「自分の働きをちゃんと見ていてくれたんだ」と、大きなやりがいを感じた瞬間でした。
→この制度の魅力は何だと感じていますか?
やはり、大学を卒業してすぐに「在外公館」という特別な場所で働ける経験そのものが、最大の魅力だと思います。
実は派遣員は外務省の直接雇用ではなく、外務省から委託を受けた「国際交流サービス協会」の派遣職員という立場なのですが、それでも国を代表する機関の一員として働く責任感と経験は、他では得られないものだと感じています。
→仕事を進める上での難しさや課題はありますか?
フィリピンならではの難しさですが、返信や対応がゆっくりなところですね(笑)。特にクリスマス前などのホリデーシーズンになると、担当者が休暇に入って全く連絡が取れなくなることもあります。
日本人の感覚だと「すぐに返ってくる」のが当たり前ですが、ここではそうはいきません。「自分が思っているより常に時間がかかる」ことを前提に、かなり前広に(余裕を持って)動くように意識して、文化の違いを割り切るようにしています。
→仕事をする上で、特に大切にしていることは何でしょうか?
職場でのコミュニケーションはもちろんですが、常に「自分の後任のこと」を考えて動くようにしています。
派遣員の任期は2年と非常に短いですが、その間にもルールが変わるなど、制度のアップデートが日々あります。実は私の時の引き継ぎ期間はわずか3日しかなく、「これ、どうやるんだろう?」と困った経験もありました。
自分が経験したことや改善点は必ずメモに残し、次にダバオに来る人が困らないように準備する。2年という点ではなく、長期的なスパンで総領事館の運営を支えたいと考えています。
ダバオでの生活
→お休みの日はどのように過ごされていますか?
平日の夕方はスーパーがすごく混むので、土日にまとめて買い出しに行くのがルーティンです。あとは最近、ダバオで美味しい抹茶ラテやほうじ茶ラテを探すのにはまっていて。デリバリーアプリの「Grab」を活用して、お気に入りのカフェを見つけるのが楽しみの一つですね。
→ダバオでおすすめのスポットはありますか?
同僚たちと「ビパーズ・ピーク」へ登山に行きました。名前の通り毒蛇がいると噂の山で、休憩中にふと見上げたら、自分たちの真上の木に蛇がいて……あれには肝を冷やしました(笑)。
→ダバオで特にお気に入りのレストランは?
居酒屋風の「Kozara Yakitori」です。あん肝があったのには驚きました!あとは「Slate Coffee」のほうじ茶ラテとバジルチキンサンドイッチも絶品です。
今後の展望
→残りの任期もあと1年と少しですが、今後のキャリアや目標について教えてください。
正直に言うと、まだ明確な「次のステップ」を決めているわけではありません。ただ、大学から今まで積み上げてきた英語をここで手放すのはもったいないな、と感じています。
大学進学時にあえて英語を選んだのは、将来の選択肢を一番広く持てると思ったからです。英語さえ極めていれば、世界のどこへでも行ける。残りの任期でも、その可能性を信じて自分のスキルを磨き続けたいです。
→帰国までに達成したい目標はありますか?
まずはダイビングに挑戦したいです!それと、せっかく東南アジアにいるので、周辺の国々にも足を運びたいですね。
業務面では、今年は「日本・フィリピン友好70周年」という節目の年。私は事務方の官房班ですが、広報のサポートとして日本文化を紹介するイベントなどにも積極的に関わり、両国の架け橋として貢献できればと思っています。

派遣員を目指す方へのメッセージ
→最後に、在外公館派遣員を目指している方へアドバイスをお願いします。
派遣員の募集要項は、実は皆さんが思っている以上に間口が広いです。18歳以上で日本国籍があり、募集言語に自信があれば、特別な職歴や運転免許も必要ありません。
「海外で働いてみたいけれど、自分に何ができるかわからない」と迷っているなら、まずは一歩踏み出して見てほしいと思います。
まとめ
今回は、在ダバオ日本国総領事館で活躍されている小野派遣員にお話を伺いました。
インタビューを通して、在外公館派遣員という制度は「外交」という少し遠い世界を、ぐっと身近に感じさせてくれるキャリアのひとつだと感じました。小野さんのお話からは、語学力を活かしながら、日本と海外を繋ぐ現場で働くリアルな姿が伝わってきました。
また、小野さんが語ってくださった「後任のために記録を残す」という姿勢からは、2年という限られた任期の中でも、公館の運営を長期的な視点で支えようとする責任感が伝わってきました。こうした積み重ねが、日本と海外を繋ぐ仕事の基盤を作っているのだと思います。
小野さんの言葉にもあったように、特別な経験や資格がなくても挑戦できる制度だからこそ、少しでも興味があれば、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
また、ダバオッチでは過去に本企画で、ダバオにいるさまざまなバックグラウンドを持つ日本人に密着取材しています。よろしければ他の記事もぜひチェックしてみてください!
《この記事を書いた人》
ダバオッチのとわ🚹(22歳)
東京の大学4年生🧑🎓フィリピン専攻🇵🇭(現在はインターンのため休学中)
大学では体育会弓道部に所属🏹
居酒屋では必ずチキン南蛮を注文します!普段はダバオッチ公式SNSをメインに活動中。ダバオで暮らす方々のための情報はもちろん、まだ「フィリピン・ダバオ」に出会ったことのない日本の方々にも、この街の魅力を伝えていきます!

ダバオッチのとわ🚹(22歳)




