
ダバオ市保健局(以下CHO)によると、子宮頸がんで亡くなった女性の数は、2023年の88人から2024年には67人へと減少した。
この発表は、2025年5月15日午前に市庁舎で開催されたISpeakメディアフォーラムにおいて、CHOの地区保健医であるシャーレン・タン医師によって行われた。
死亡者数が減少している一方で、タン医師は子宮頸がんの検診を受ける女性の数が減っていることに懸念を示した。2023年には7,137人の女性が検診を受けたが、2024年には6,104人にとどまった。
「子宮頸がんは、20歳の若い女性から70歳の高齢の女性まで発症する可能性がありますが、患者の多くは40歳から50歳の女性に集中しています」とタン医師は述べた。
タン医師は、子宮頸がん予防におけるヒトパピローマウイルス(以下HPV)ワクチンの重要性を強調した。このワクチンは、9歳から14歳の女の子を対象に、地域の保健センターで無料で接種できる。接種は2回行われ、6か月の間隔を空けて実施される。
ワクチンは15歳から45歳の女性にも接種可能だが、市では若年層を優先している。年齢が上の女性には、民間のクリニックや病院での接種を勧めている。
タン医師によると、HPVワクチン接種は、小学校4年生の女子児童を対象としたCHOの学校内での予防接種プログラムの一環である。しかし、学校や地域で説明会が実施されているにもかかわらず、保護者の出席率が低いため、接種率は依然として低い状況が続いている。この課題に対応するため、CHOは9歳から14歳の女児への接種促進に向けた取り組みを強化している。
フィリピン産婦人科専門医学会の南フィリピン医療センター(以下SPMC)代表のメアリー・リー・リム医師は、HPVの感染拡大を防ぐために男性にもワクチン接種が可能であることを補足した。ただし、地方自治体の支援体制は、優先接種年齢層である女子へのワクチン提供に集中しているのが現状である。
リム医師は、子宮頸がんは予防可能な病気であり、定期的なパパニコロウ(子宮頸部細胞診)検査や責任ある性行動によって予防できると強調した。「多くの女性は受診を先延ばしにしてしまい、医療機関を訪れた時には既に癌が進行していることが多いのです。その段階では、治療は通常、化学療法や放射線療法に限られてしまいます」と彼女は述べた。
早期発見を促すため、CHOは年間を通じて地域の保健センターで「酢酸を用いた頸部視診(以下VIA)」を提供している。パパニコロウ検査には病理医が必要だが、VIAはより手軽に受けられる代替手段である。VIAで陽性となった場合は、SPMCの産婦人科専門医に紹介され、さらなる精密検査が行われる。
また、タン医師は、子宮頸がんの主な原因はHPVという性感染症であることを改めて市民に呼びかけた。初期段階では症状が現れにくいが、不規則な出血、生理以外の出血、閉経後の出血、性交後の出血、悪臭を伴う膣分泌物などが警告サインとして現れる可能性があると説明した。
ただしこれらの症状が現れたからといって必ずしも子宮頸がんであるとは限らず、他の疾患が原因となっている場合もあることを注意喚起した。