戒厳令の実施から、間もなく3か月が経とうとしているが、昨日、フィリピン軍・東ミンダナオ司令部広報は、「市民から、戒厳令に関係する人権侵害などの違反や、正式な苦情は、一切ない。」と報告した。戒厳令下で人権侵害を監視し、兵士に指導を行う軍の委員会、「マルチセクター・アドバイザリー・グループ」(MSAG)も、軍や兵隊に対して市民から、クレームなどの情報はないと報じている。
また、法律的なバックアップを行っている「戒厳令ヘルプデスク」からも、同様の報告は受けていないとのこと。先住民族に対する人権侵害の疑いなど、多くのことが指摘されているドゥテルテ政権であるが、現在のところ、概ね、一般市民が戒厳令で不快な思いをしているということはなさそうである。
ミンダナオ島西部のマラウィ市で、イスラム系テロリスト組織マウテグループが攻撃を開始した直後、5月23日に、ドゥテルテ大統領はミンダナオ島に厳戒令を宣言。政府は、人質の救出と、マラウィ市の奪還の為に多くの兵を送り、戦闘を行っているが、これまでに、民間人や政府の兵士から数百人の死者を出した。現在も戦闘は続いており、当初60日間だった戒厳令は、年末まで延長されている。