ミンダナオ島の米農家グループとアメリカに拠点を置くマーケティング会社が、ミンダナオの有機栽培米をアメリカの市場で販売するという契約書に署名をおこなった。
ミンダナオ開発庁(以下MinDa)が主催し、ダバオ市内のホテルで行われた署名式では、取引が行われる米の種類に関して、有機米だけでなく、近年の健康ブームから欧米で流行している玄米や、玄米の一種である赤米と黒米の無制限の取引、さらに少数民族によって栽培されたハトムギの輸出契約も発表された。
同時に開催されたミンダナオライスフォーラムには、MinDaと農業省の地域事務局、フィリピン稲作研究所(以下PhilRice)が参加し、共同でミンダナオ有機栽培米委員会(Mindanao Organic Rice Council 以下MORCO)の設立を宣言した。MORCOは、ミンダナオ島各地の米農家組合から代表が集まり委員会を構成する。MinDaは農業省とPhilRiceの支援を受けつつ、ミンダナオの稲作に関するデータベースを作成し、生産地の特定などを進めるとともに、米農家を支援していくとした。
アメリカのマーケティング会社の責任者であるAndrew Bolougne氏は、特に有機栽培された黒米に関して、アメリカではその薬効に注目が集まっており、巨大な需要が存在していると語った。また同氏は、今回取引される有機栽培米の取引価格は、フィリピン国内での価格と比べて2倍の値がつけられるだろうと約束した。MORCOの副会長兼マーケティング責任者のMaria Helenita氏は、アメリカでの有機米の需要に対し、まだまだ必要な生産量を確保できていないとし、これからのマーケティング活動によっては、さらに有機栽培米の販売価格が上昇するかもしれないと述べた。
今回の貿易契約の署名は、MinDaが主導した2回目の事例だ。以前、MinDaはパプアニューギニアへミンダナオ産の米を輸出するという契約を成功に導き、今年末までにパプアニューギニアへ約5千トンの米の初期出荷が予定されている。今年9月にはパプアニューギニアから代表団がミンダナオ島を訪れ、米の生産地と加工施設を見学した。
ミンダナオ島では、カカオやコーヒー豆、多様なフルーツなど、可能性に満ち溢れた農産物が数多く栽培されている。米もその一つで、今回の契約が成功をおさめ、農産物輸出の成功例を作ると同時に、米農家の収入増に寄与することが望まれる。