1993年から2020年までにかけて、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および後天性免疫不全症候群(Aids)に感染したダバオ地方の人の数は、合計で4,513名になることが明らかになった。コロナ禍の外出制限によって新規感染者数は減少しているものの、感染者の若年化や外出制限解除後に感染者数が増えることなどが懸念されている。
保健省ダバオ支部の感染症に関する問題を管轄する「the Department of Health-Regional Epidemiology and Surveillance Unit」は、1993年から2020年末までの、ダバオ地方のAIVおよびAidsの感染者数について発表した。これによると、ダバオ市が最も多く3,312名、続いてダバオデル・ノーテ州556名、ダバオデルサル州242名、ダバオデオロ州200名、ダバオオリエンタル州141名、ダバオオキシデンタル州62名となっている。また、このうち238名がHIVによって亡くなったという。
ダバオ市の性感染症対策を担う「Davao City’s Reproductive Health and Wellness Center: RHWC」のJordana P. Ramiterre医師は、コロナ禍が原因でHIVやAidsに関する予防講習などができなくなっており、感染者のケアも十分できていないと語った。しかしながら、検査などのサービスを利用する人はわずかながら増えてきているとも語った。
5月14日にAidsに関するキャンドルセレモニーがオンラインで開催された際、Remiterre医師は、センターのサービス向上を続け、利用できる人を増やしていきたいと語った。また、5月の第3日曜日にHIVおよびAidsの啓発をおこない、病気を自分ごととして捉えてもらうことや、HIV感染者への侮辱や差別を減らすことにつなげるためのアクションを呼びかけている。2021年のテーマは「私たちは覚えている。行動しよう。HIVを乗り越え生きていこう(We Remember. We Take Action. We Live Beyond HIV)」となった。
しかしながら、HIVおよびAids対策基金ダバオ支部のPatrick Albit氏は、SNSやマッチングアプリなどの影響で性行為へのハードルが以前と比べ下がっているため、感染者は増えているのが現状だと述べた。そして、現在はコロナ禍による移動制限が課されているため感染者数は減少しているものの、外出制限が緩和され、施設などが再開すると再び感染者は増えるだろうと見解を述べた。Albit氏は、「現在は若年層のほうをターゲットにして活動をおこなっている」と語り、Remiterre医師もまた感染者の若年化が見られると述べた。
HIVやAidsについても、問題の状況が変化してきている。それらに対応しながら、人々をHIVやAidsから守っていければと思う。