6月17日(水)に開催された、国際身体障害者チェス協会(Ipca)世界オンラインチェス選手権2020で、フィリピン人FIDE master(フィデマスター:国際チェス連盟のタイトルの一つであり、チェスの名人に与えられる称号、)のサンデル・セヴェリーノ氏が世界タイトルを獲得した。
セヴェリーノ氏は、世界最高峰のパラチェスプレイヤーが参加する同大会で、9ラウンドを終えて8.5ポイントを獲得し、見事無敗を達成した。2位、3位争いではイスラエルとロシアの選手がともに7ポイントで並ぶ激戦となった。順位の行方はタイブレークに持ち込まれ、両者の直接対決の末、41.25-31.75でイスラエル人のプレイヤーがロシア人プレイヤーを撃破し2位となった。
優勝したセベリーノ氏は、Facebookメッセンジャーのチャットインタビューにて「夢が叶った!」と喜びを爆発させた。一方で、対面ではなくオンライン対戦とはいえ、その緊張は相当なものだという。実は同氏がオンライン対戦時に緊張する理由は、チェスの対戦への緊張感の他に、ある出来事が関係しているという。
それは2019年のオンラインチェス大会での出来事。同氏は試合後にセレブレーションタイム迎えてわずか30秒後、停電が起こったのだ。日本や先進国では考えにくいことだが、フィリピンでは頻繁に停電が起こり、電気の供給が一時的に麻痺する。電気が止まればインターネットも使用できなくなるため、インターネットトーナメントの参加者にとって、穏やかではない。セベリーノ氏は、その停電の記憶などもあり、オンラインは緊張するとコメントしている。