ダバオ市議会で、精神疾患が認められたホームレスを介護する施設を市内に設置する条例が、第一審議を通過した。2020年に施設の建設開始を目指しているという。
市の健康委員会で議長を務めるMary Joselle Villafuerte氏は、サラ・ドゥテルテ= カルピオ市長が今回の条例の実施に向け、2千3百万ペソの資金拠出を決定したと述た。ホームレスであり精神疾患を患った市民を介護する施設の設置は、フィリピン国内で初めてのことである。
同氏は、南フィリピン医療センター精神・行動医学研究所(Southern Philippines Medical Center-Institute of Psychiatry and Behavioral Medicine)の専門医たちの知見が、ホームレスたちの中から精神疾患を患った市民を特定するのに役立つだろうと述べた。研究では、精神疾患を患った状態でホームレス生活を送ると、アルコール依存や薬物乱用に傾向する可能性が高くなり、地域の犯罪率が高まることがわかっているという。
社会福祉のセーフティーネットがまだ脆弱なフィリピンでは、一度家族や地域のコミュニティを抜けてしまうと、自力での社会復帰が難しい。特に精神疾患を患い、収入を得る手段が限られてしまうと、社会に負担をかける方法でしか、生活する方法がない。ダバオ市はそういった市民を、排除ではなく、社会復帰を通じて、豊かな社会を作っていく必要があるだろう。