フィリピン上院は弾劾裁判所として、サラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾裁判を2026年7月6日に開始することを決定した。一方、ドゥテルテ氏は、自身に対する弾劾訴追は法的に無効であるとして争う姿勢を崩していない。
上院事務総長のレナト・バントゥグ・ジュニア弁護士によると、裁判は当初、毎週月曜日から水曜日まで審理を行い、木曜日を申し立てなどの手続きに充てる予定となっている。
また、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領による7月27日の「施政方針演説(SONA)」後は、上院本会議を午前中に開くため、弾劾裁判は毎週火曜日から木曜日の午後に実施される予定だ。
裁判開始を前に、ドゥテルテ氏は弾劾訴追状について、法的な不備があり、却下されるべきだとの主張を改めて示した。
5月25日に提出され、その後上院が公表した答弁書について、ドゥテルテ氏は弾劾訴追は「明らかな偏見と悪意に基づき、結論ありきで進められたため無効だ」と主張した。
また、下院司法委員会での審議が継続中だったにもかかわらず、複数の下院議員が「弾劾に必要な票数は確保した」と公言していたことを挙げ、弾劾の結論は当初から決まっていたことの表れだと指摘した。
ドゥテルテ氏は答弁書で、「審議が継続していたにもかかわらず、下院議員が『十分な票を確保した』と発言したことは、相当な理由があるとの判断があらかじめ決まっていたことを示している」と述べた。
さらに、弾劾訴追状を「違憲な権限の簒奪(さんだつ)の産物」と表現し、下院司法委員会での手続きは、国民の前で自身の名誉を傷つけることを目的とした「形式的な手続き」にすぎなかったと主張した。
また、ダバオ市長および副市長在任中の行為に関する疑惑が弾劾訴追状に盛り込まれていることについても、「これらの役職は弾劾の対象ではないため、訴追理由に含めるべきではない」と異議を唱えた。
さらに、弾劾訴追状で示された証拠の一部について、自身が答弁書を提出した後に追加されたものであり、それらに反論する機会が与えられなかったことは、憲法で保障された適正手続きを受ける権利の侵害に当たると主張した。
また、一連の弾劾申し立ては「fishing expedition(根拠を欠いた証拠探し)」に過ぎず、憲法が定める弾劾申し立ての「1年以内の再弾劾を禁じる規定」にも違反しているとの従来の主張を改めて繰り返した。
ドゥテルテ氏は、「弾劾訴追状は、その根拠となったサバラ氏およびカブレラ氏による申し立てと同様、最終的な事実認定を示しておらず、記載内容は憶測や推測、結論の域を出ていない」と述べた。
さらに、「弾劾訴追状には、弾劾事由を裏付ける十分な事実的・法的根拠は示されていない」と主張した。
これに先立ち、下院司法委員会は、弾劾訴追案を本会議へ付託する十分な根拠があると判断した。5月11日には下院本会議がドゥテルテ氏の弾劾を可決し、弾劾訴追状は上院へ送付された。
弾劾訴追状では、機密費の不正使用、不明瞭な資産形成、教育省当局者への贈賄疑惑に加え、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領、ファーストレディのリザ・アラネタ・マルコス氏、および前下院議長の暗殺を企てたとされる疑惑などが弾劾事由として挙げられている。






