フィリピン初となる「インテリジェント・シティ(Intelligent City)」構想の実現に向けた覚書(MOU)が、2026年5月28日に東京で正式に締結された。
調印式には、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領をはじめ、貿易産業省(DTI)のクリスティーナ・ロケ長官、アヤラ・コーポレーションのフェルナンド・ゾベル・デ・アヤラ副会長、セザール・コンシン社長兼最高経営責任者(以下CEO)、グローブ・テレコムのカール・クルス社長兼CEOらが立ち会い、このプロジェクトが国家的かつ国際的に重要な取り組みであることを示した。
今回の提携には、アヤラ・コーポレーション、グローブ・テレコム、三菱商事、KDDIの4社が参加する。パイロットエリアには、マカティCBD(中心業務地区)が選定され、データやデジタル技術、高度な通信インフラを活用して、フィリピンにおける都市生活のあり方を大きく変革することを目指す。
AIとデータを活用した次世代都市へ
プロジェクトでは、グローブの安定した通信ネットワークを基盤に、さまざまな産業分野のデジタル化を進めることで、インテリジェント・シティ構想の実現を図る。
対象分野には、交通・モビリティ、小売、エネルギー、通信インフラなどが含まれる。また、都市全体のデータを統合し、AIソリューションを活用する「スマートシティ・プラットフォーム」の開発も進められる予定だ。
アヤラ・コーポレーションのセザール・コンシン社長兼CEOは、「アヤラは常に、人々の暮らしを向上させるコミュニティづくりを信念としてきました。この取り組みを通じて、マカティCBDをイノベーションの拠点へと再構築していきます。テクノロジーと人とのつながりを融合させ、人々のために真に機能する都市を実現したいと考えています」と述べた。
IoTとAIで持続可能な都市づくり
今回の取り組みでは、IoT(モノのインターネット)技術を活用し、AIを日常生活のさまざまな場面に組み込んでいく。
こうした技術を基盤に、よりスマートで持続可能かつ、災害や社会変化にも強い都市コミュニティの構築を目指す。
グローブ・テレコムのカール・クルス社長兼CEOは、通信インフラの重要性について、「コネクティビティは、今や国家の成長と繁栄を支える生命線であり、『第五の公共インフラ』とも言える存在です。グローブは信頼性の高いネットワークを活用し、都市の変革を推進していきます。すべてのフィリピン人が、デジタル時代に必要なツールや機会、体験へアクセスできる環境を実現したいと考えています」と強調した。
フィリピンの都市開発モデルへ
この提携は、フィリピンの都市開発における新たな時代の幕開けとなる可能性を秘めている。
高度な通信技術やAI、持続可能なテクノロジーを活用することで、マカティCBDの再構築にとどまらず、将来的には全国各地の都市開発モデルとなることが期待されている。
また、企業がより革新的な事業を展開できる環境を整備し、経済的包摂性を高めることで、フィリピン企業や起業家の競争力強化にもつながる見通しだ。
関係者は、この戦略的パートナーシップによって、数百万人のフィリピン人がより安全でスマート、かつ高度につながったコミュニティの恩恵を受けることになるとしている。
今回のプロジェクトは、産業界のリーダーたちが連携することで、テクノロジーが社会変革の強力な原動力となり得ることを示す象徴的な取り組みだ。都市の近代化と地域社会の発展を通じて、フィリピン国民の暮らしの向上を目指していく。






