【News】ダバオでのオンライン教育、遠隔地での実施は困難か?

フィリピン日系人国際学校

フィリピン教育省の推進する、オンライン教育実施に向けて、ダバオ地域電気通信委員会(NTCダバオ)は、国内の通信事業体に対し、特に遠隔地域でのサービスの改善を呼びかけている。

先日6月18日、教育省は教師向けに、オンライン遠隔教育についてのビデオ会議を開催した。その際、遠隔地から参加した教師が、電波を拾うためにより高い場所に登ってインターネットに接続する必要があったということが、関係者の話題になった。

これを受けてダバオ・デ・オロ州知事ジェイヴィー・ウイ氏は、「オンライン学習等の新しい仕組みを導入するには、特に遠隔地域の信号強度を改善する必要がある」と語り、NTCダバオ対し改善要請を行った。

コロナウイルス対策として政府が推進する「オンライン教育」への移行には、特に遠隔地における通信信号の安定拡大が必須だが、課題も多い。そのひとつが道路取得権と、セルタワーの建設の土地問題だ。

セルタワーとは、移動体通信の基地局や通信塔を指す。通信エリアが細胞(セル)のように敷きつめられていることから、セルタワーと呼ばれ、隣接するセル同士では電波の周波数をずらして干渉を防いでいる。

NTCダバオのディレクター、ネルソン・カニェテ氏によると、セルタワーを建設するための交渉に時間がかかるケースが多く、またタワー建設のためにクリアしなければならない地方自治体の要件が非常に厳しいことが、遅延の原因になっていると言う。

NTCと情報通信技術局(DICT)が提案しているインターネット接続問題対策のひとつに、セルタワーの共有がある。複数の通信事業体がひとつのセルタワーを共有することで、接続性を改善できるという。しかしながら、政府が進めている8月からのオンライン授業実施には、到底間に合いそうもない。市内の教育関係者からも懸念の声が上がっている。