南フィリピン医療センター(以下SPMC)は、2025年の臓器提供者が1人にとどまったことを受け、市民に対し臓器提供プログラムへの理解と協力を呼びかけている。
SPMCのSHAREチーム医療責任者であるデニス・ベンジャミン・O・ゲリ医師は、多くの人が臓器提供の存在を十分に認識していないことから、病院として広報・啓発活動を強化していると述べた。
ゲリ医師によると、ドナー候補の家族は、宗教的信念や文化的慣習に反するとして臓器提供を断るケースが多いという。一方で、1人のドナーが複数の患者の命を救い、生活の質を向上させることができると強調した。
2026年6月29日にSMシティ・ダバオで開かれた「カペハン・サ・ダバオ(Kapehan sa Dabaw)」で、「臓器提供では、亡くなった後に臓器を提供し、他の人を助けることができます。しかし、一部の人々にとっては依然としてタブーとされており、それが最大の課題だと考えています」と述べた。
SPMCによると、臓器提供は2025年に1件実施されたものの、2024年およびそれ以前の数年間は0件だった。また、新型コロナウイルス感染症のパンデミック期に当たる2021年には1件記録されたが、2026年第2四半期時点では実施例は確認されていない。
ゲリ医師は、腎臓、肝臓、心臓、肺などの臓器は移植が可能であり、1人のドナーが複数の患者の治療に貢献できると説明した。特に腎臓は需要が高く、移植を待つ間に亡くなる患者も少なくないと指摘した。
さらに、臓器提供には極めて厳しい時間的制約があると説明した。ドナーの死亡後、腎臓は48時間以内、肝臓は12~15時間以内、肺は6時間以内に移植する必要があり、心臓は直ちに移植しなければならないという。
また、より多くの個人や家族が臓器提供への理解を深め、医療従事者や医療機関への信頼を高めることに期待を示した。
フィリピンでは、医学教育、研究、治療、移植を目的とした「臓器提供法」(共和国法第7170号・1991年)が整備されている。
またダバオ市でも、臓器提供制度の推進と市民への啓発強化を目的とした条例が市議会で承認されており、臓器提供文化の醸成を通じて、より多くの命を救うことを目指している。






