2026年5月18日夜、ダバオ市では激しい豪雨により各地で洪水や停電が発生し、市政府は翌19日、公立・私立学校の対面授業および一部政府業務の停止を決定した。
被災地域では現在も復旧作業が続いており、当局は河川周辺の住民に対し、鉄砲水への警戒を呼びかけている。
今回の大雨は、南ミンダナオに影響を及ぼしている熱帯収束帯(ITCZ:Intertropical Convergence Zone)と貿易風(イースターリー)の影響によるもの。長時間にわたる降雨により、マティナ・パンギ、マティナ・クロッシング、ブナワンなどの低地では、住宅や商業施設の浸水被害が相次いだ。
フィリピン気象庁(以下PAGASA)は19日午前6時、洪水警報第3号を発令。ダバオ地方全域で雷を伴う雨が続く見込みだと発表した。また、ダバオ・デ・オロ州、ダバオ・デル・スル州、ダバオ・オクシデンタル州の河川流域でも洪水発生の恐れがあるとして警戒を呼びかけた。
特に監視対象となっているのは、ダバオ川、ラサン川、ブナワン川、マティナ川、タロモ川、リパダス川、ディゴス川など。
PAGASAは、「山間部の斜面付近や低地に住む住民は、鉄砲水発生の可能性に十分注意してほしい」と警告している。
ダバオ市政府は19日午前5時ごろ、すべての公立・私立学校で対面授業の停止を発表。また、安全対策、医療、社会福祉、災害対応などに関わる部署を除き、市役所業務も停止となった。
市政府は声明で、「洪水被害を受けた地域の安全確保と、道路や地域の清掃活動を優先するため」と説明している。
特に被害が大きかったマティナ・パンギ周辺では、18日深夜から急速に水位が上昇し、多くの住宅が浸水した。水位は19日午前3時ごろから徐々に下がり始めたものの、当局は引き続き河川の監視を続けている。
マティナ・クロッシング在住で、バランガイ(行政区)災害対策チームに所属するジャン・エリック・プリエテ氏は、「多くの住民が急激な増水に対応できなかった」と語った。
住民の中には、日中に雨が弱まったことで洪水は収まると考えていた人も多かったが、夜遅くになって再び激しい雨が降り始め、水位が急上昇したという。
プリエテ氏の自宅では浸水が腰の高さに達し、多くの家財道具が被害を受けた。
また、マティナ・パンギの飲食店やサリサリストア(日用雑貨店)なども浸水被害を受け、一時営業停止を余儀なくされた。
食堂で働くシエラさんは、「毎年、大雨が降ると水位は上がりますが、ここまで高くなったのは初めてです。月曜日の夜は本当に激しい雨でした。冷蔵庫などの家電を机の上に避難させなければなりませんでした」と振り返った。
19日朝には、住民や事業者らが泥や壊れた家具、機材などの撤去作業を開始。小規模事業者の中には、家電や商品、設備が水没し、大きな損失を受けたとの声も上がっている。
被災地域の住民からは、「毎年のように洪水が発生している」として、長期的な洪水対策を求める声が強まっている。
一方、洪水の影響により複数地域で停電も発生した。感電事故や設備損傷を防ぐため、浸水地域へ電力を供給する送電線が一時停止されたためだ。
電力会社ダバオ・ライト社(Davao Light and Power Company)は19日、復旧作業チームを各地に派遣したと発表した。
同社によると、午前11時までにマティナ・フィーダー3系統の一部地域で電力が復旧。対象地域には、マティナ・パンギ・ロード、チューリップドライブ周辺、マティナ・アプラヤ・ロードなどが含まれる。
さらに正午ごろには、ジェイドバレー、ジュリビル、マンドゥグ・マルケラ、パロスベルデスなどを含む地域でも送電が再開された。
午後1時ごろには、バンカルおよびカタルナン・グランデ周辺の一部地域でも復旧作業が進んだ。
ただし、一部送電線では安全確認作業が継続しており、停電が続いている地域もある。
ダバオ・ライト社は、「浸水していない地域でも、同じ送電線を共有している場合は停電が続く可能性がある」と説明している。
また、ダバオ市災害リスク管理局(以下CDRRMO)は、ブナワン川の水位上昇を受け、19日朝に「コードレッド(危険水位)」を発令した。
CDRRMOは、サン・イシドロおよびブナワン・プロパーの災害対策委員会に対し、河川沿い住民の予防的避難を実施するよう要請している。
さらに、ブナワン地区では洪水警報サイレンが作動した。
19日正午には、市内各地で防災サイレンの試験運用も実施され、マティナ・パンギ、マティナ・クロッシング、ブナワン・プロパー、ラサン、ティガット、バゴ・アプラヤなどで警戒体制が強化された。
加えて、ダバオ市警察第16署マア支部や市機動隊の捜索救助チームも被災地へ派遣され、住民支援や警戒活動を続けている。
当局は、今後も雨が続く可能性があるとして、河川沿いや低地地域に住む住民に対し、引き続き警戒を呼びかけている。




