ダバオ市を拠点とする環境保護団体「Interfacing Development Interventions for Sustainability(以下IDIS)」は8月29日、タムガン川の水が上流の山岳リゾートに利用されることで、水量と水質に影響を及ぼしていると指摘した。
IDIS専務取締役のマーク・ペニャルパー氏は、エルニーニョ現象の期間中は水位が低下すると語った。エルニーニョ現象は今年の初めから懸念されており、10月から12月にかけてやや強い影響が出ると予想されている。
しかし同氏によると、リゾート地への水の転用はエルニーニョ現象以上に水の供給量に大きな影響を及ぼしているという。また、川の上流でのリゾート施設の運営は、川の水質を悪化させる恐れがあるともした。
「流域の保護に取り組むNGOとして、この種の活動は生物多様性と水量に影響を及ぼし、水質を脅かし続けているため、流域では、禁止とはいかずとも厳しい規制が必要だ」とペニャルパー氏は主張した。
パニガン-タムガン川は現在、ダバオ市の水道事業のために利用されているという。同氏によると、これらの河川とその支流の保護は「ダバオ市民だけでなく、我々の政策決定者にとっての第一の関心ごとであるべき」と語り、2021年に可決された「自然環境の保護保全のための流域保全地域内でのレクリエーション活動の規制」条例の積極的な実施を要請した。
リゾートを利用するごく一部の人々のために、他の大勢が不利益を被るのは深刻な問題と言える。今年の大きな関心事の1つであるエルニーニョ現象。農業の対策は数多く打ち出されている一方で、飲料水の確保にも気が抜けない。