ダバオ市とサマル島(以下SIDC)を繋ぐ橋プロジェクトの再編成を求める土地所有者の声が上がる中、地元の環境団体Ecoteneoがダバオ湾とその珊瑚礁の重要性を改めて主張した。
5月22日、EcoteneoのCarmela Santos理事は、ダバオ湾の珊瑚礁はこの地域の生態系の維持に重要な役割を果たし、ひいては生物多様性と食糧生産に繋がると強調した。
また、SIDCの橋の建設に伴い破損の恐れがあるパラダイスリーフの保護についても、珊瑚礁の生態系の劣化は漁業生産性の低下につながることを指摘した。「私たちは、珊瑚のためだけに珊瑚を守れと言っているのではない。食料を珊瑚に依存しているのだ。家族のために、家族を養うために、これ以上珊瑚を殺すわけにはいかない」とSantos氏はKapehan sa Dabawメディアフォーラムで語った。
珊瑚礁は、高潮や海岸侵食に対する自然のバリアとしても機能するため、気候変動対策としても重要であるという。
インフラ整備と環境保護のバランスについての見解を問われたSantos氏は、「開発のために環境が犠牲になることはあってはならない」と述べた。「環境保護はと反開発派を同一視する人がいるが、実際はその逆だと考えている。環境を破壊するような開発を追求することが、反開発なのだ」とのことだ。
Ecoteneoをはじめとする環境団体は、これまでにもSIDCの橋建設に対する立場を明らかにし、建設自体に反対するのではなく、パラダイスリーフの珊瑚礁の生態系を損なわないための再編を提唱していることを強調してきた。
2020年の時点で既に、この橋の工事により珊瑚礁にかなりの影響が及ぶことが懸念されていた。パラダイスリーフはサマル島周辺に残されたわずかな「生きた珊瑚礁」であり、工事の際にどれだけ被害を減らせるかが重要だ。島の住民の生活のためにも、珊瑚礁保護の観点を組み込んだ計画の見直しが求められている。