【コラム】コロナ禍で生まれ変わる?田舎の生活モデル

では、お金の方はどうでしょうか?フィリピン経済は出稼ぎ労働者の仕送りで成り立っている、と言われているほど出稼ぎに依存したものでした。その出稼ぎという収入が絶たれ、親族もみんな地元に戻ってきて人数も増えている、という状況なわけですから、経済的にかなり困窮した状況になるのではないかと私は懸念していたんですが、それがびっくりするほどそうでもないんです。

このくらい大きな商店も次々とオープンしており、しかも繁盛している。

いや、それどころか、通りには次々と新しい小売店がオープンしています。サリサリストア、八百屋、肉屋、フライドチキン屋、鶏の丸焼き屋、惣菜屋などが次々とできるので、資金とかどうしてるの?と聞いたら「出稼ぎから戻ってきて貯めたお金をつぎこんだ」との答えが返ってきました。

そんな、無理やり作っても需要がなかったらつぶれるだろう、と思ったら、これが意外なほどに繁盛しています。なるほど、みんなどこにも行けず、近場で消費活動をするから、結構これで地元の経済が回る、ってことのようです。また、出歩けない人たちのために車にありとあらゆるものを詰め込んで町から町をめぐって売り歩く行商なんていうビジネスモデルも目に付くようになりました。

服、雑貨、おもちゃなどを車に乗せての移動販売ビジネスも好調。

これは都市や海外への出稼ぎに依存した経済が、地元産業で回る、地産地消的な経済に生まれ変わる、その瞬間を見ているのかもしれません。いつかこの国はそうなっていかなきゃいけない、と思ってましたが、まさか新型コロナがそのきっかけになるとは!瓢箪から駒というか、転んでもタダでは起きないというか、不幸中の幸いというか…。

この「新しい小売店」が半年後、1年後にまだ生き残っているかどうかが、フィリピンという国のパラダイムが大きく転換するかどうかの指標になるのではないかと私は思っています。フィリピンへの移住や投資を考えている方は、この潮流にぜひご注目ください。


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