鯨、ジンベエザメ、ジュゴン、亀・・・。日本では水族館でしか見ることのできない貴重な生物が、ダバオの海にはたくさんいる。しかし、近年の開発によって海の環境が悪化しており、生物にも影響が及んでいるという。このような状況を改善しようと、ダバオの複数の団体が活動をおこなっている。
Hijo資源会社(Hijo Resources Corporation:HRC)をはじめとした複数の団体は、Tagum市のバランガイMadaumにあるHijo Estate海岸で活動をおこなうことを明らかにした。この海岸は、数十年にわたって侵食が進んでおり、その環境の悪化が懸念されていた。
この海岸はダバオ湾に位置する。そして、ダバオ湾には多様な海洋生物が住んでいる。フィリピン固有の鯨が10~27種類いるだけでなく、ジンベエザメやジュゴンの重要な生息地になっている。さらに、珍しいオサガメ(革のような甲羅を持つ大型のウミガメ)をはじめとした、計3種の亀の住処でもある。これらの生物を支えるのは、豊富なプランクトンなどの生物である。ダバオ湾には、豊かな生態系が形成されているのだ。
豊かな海を守るため、Hijo資源会社のCEOであるロザンナ・ツアソン・フォレス氏と、同社のハリー・モリス氏は、ダバオ湾の珊瑚や海草、マングローブを回復するためのプロジェクトに既に取り組んでいる。取り組みのひとつとして、同氏は人工の珊瑚(格子状の枠に珊瑚のかけらを付けたもの)を海中に置いているという。この珊瑚が他の海洋生物を引き寄せ、周辺をより豊かな生物の住処にするという。また、海草を海底に植えたり、海岸線のマングローブの植林をしたりしているという。
2015年からの取り組みによって、多くの生物が集まってきており、海草も順調に成長している。これからも取り組みを継続することによって、さらにダバオ湾の環境がよくなっていくことが期待される。ダバオ湾の豊かな生態系を守り、次の世代にバトンタッチするために、プロジェクトの継続が今後も必要だ。