バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(以下BARMM)は、2026年のハッジ(メッカ巡礼)に向け、元戦闘員451人を派遣する計画を進めている。巡礼に先立ち、健康管理や輸送体制の整備、宗教指導などの準備が進められている。
この取り組みは、バンサモロ巡礼庁(以下BPA:Bangsamoro Pilgrimage Authority)が主導し、元モロ戦闘員の社会復帰を支援する施策の一環として実施される。
「マナシクル・ハッジ・プログラム(Manasikul Hajj Program:巡礼事前講習付き支援制度)」では、対象者に対し、イスラム教の五行の一つであるハッジへの参加費用を一部または全額補助するとともに、事前講習(マナシク)を通じて巡礼の正しい作法を指導する。
出発準備の一環として、対象者は4月13日から15日にかけて、コタバト市のシャリフ・カブンスアン文化複合施設でワクチン接種を受けた。この取り組みは、フィリピン・ムスリム委員会(以下NCMF:National Commission on Muslim Filipinos)の巡礼・ワクフ局が主導する地域巡回型ワクチン接種プログラムのもと、保健省およびコタバト市保健局と連携して実施された。
ワクチン接種は、毎年世界各地から数百万人のイスラム教徒が集まるハッジにおいて、感染症から巡礼者を守るため、サウジアラビア当局が義務付けている要件である。
聖地への入域にあたっては、髄膜炎菌感染症に対するワクチン接種を含む免疫要件への適合が、同国のハッジ・ウムラ省により求められている。
BPAのノロディン・サラム副執行局長は、「ワクチン接種は医療上必要であると同時に、巡礼者の精神的準備の一環でもあります」と強調しました。
サラム氏は、「ワクチン接種は私たちの意図(ニーヤ)の一部です。ハッジのためだけでなく、健康を守るためにも必要なことです」と述べました。
今回の接種事業は、第12地方およびBARMMからの巡礼者1,091人を対象とした広範な取り組みの一環であり、渡航前に国際的な保健基準を満たすことを目的としている。
NCMFの巡礼・ワクフ局で医務官を務めるタマラ・メイ・アンサマ医師は、今回派遣される元戦闘員451人が、2026年のハッジに参加するフィリピン人巡礼者全体の約9%を占めると説明した。
巡礼は、ズル・ヒッジャ月(イスラム暦12月)の8日から12日に実施される予定で、おおむね5月25日から29日(グレゴリオ暦)に相当するが、最終的には月の観測により確定される。
万全の準備を整えるため、NCMFは出発前オリエンテーションも実施し、渡航手続きや健康要件、宗教上の指針について説明した。さらに、運輸通信省や保健省などの政府機関が連携し、移動手配の支援に加え、渡航キットや接種後ケア用品の提供も行った。
「マナシクル・ハッジ・プログラム」は、精神的充足と社会復帰を両立させる包摂的な施策を通じて、元戦闘員支援を継続するバンサモロ政府の取り組みを象徴するものとなっている。
このプログラムは、巡礼機会の提供にとどまらず、元戦闘員が平和な市民生活へ移行することを支援する、地域の平和構築および正常化政策の一環として位置付けられている。






