フィリピン心理学会(以下PAP)南ミンダナオ事務所は、6月22日に心理学専門家規制委員会(以下PRB)が発表した決議の一部の条項により、いくつかのクリニックが閉鎖に追い込まれるとして警戒の意を表明した。
決議第4号は、「2009年フィリピン心理学法」として知られる共和国法第10029号第33条(b)を実施するために出されたもので、7月16日より「心理学または心理測定学の事務所、センター、クリニック、施設の運営許可証」の発行に「厳格な」要件を課すものである。
7月13日の声明の中で、PAP南ミンダナオ事務所のマリア・イザベル・レメン所長は、「誤った解釈、誤解、職権濫用」の余地を残す、この決議の曖昧さに疑問を呈した。この新しい規制は、懲罰的な規制精神を反映しており、特に都市から離れた地域では、専門家の数も限られるため、フィリピンの国自体に影響を与える可能性があると、同氏は懸念を示した。
この決議では、心理サービスユニット(PSU)の責任者は、「心理学の修士号を持ち、心理学者として少なくとも7年の経験を持ち、そのうち3年は監督的立場での経験で、登録され、かつ免許を受けた者」でなければならないと定められている。レメン氏は、この7年という要件を満たさないために、閉業に追い込まれるクリニックが多く、その影響を被る患者が増加するだろうと語る。具体的には、1,700人の心理学者がクリニックの運営資格を剥奪されると予想されている。
これによる空白を埋めるのは、規制の対象外のソーシャルワーカーやNGOのボランティアである、とレメン氏は予想する。さらに、アテネオデダバオ大学心理学部の前学部長ゲイル・イラガン氏によると、PRBは試験を延期する傾向があり、実力があるにもかかわらず試験を受けるのが遅れるケースが散見される。そのため、この決議によって、そもそも免許を取得する意味がなくなってしまうというのだ。
レメン氏は「全体として、この決議は心理学の専門家と協力するというよりも、むしろ取り締まるという傾向が強いようだ」と嘆きをあらわにした。これは心理学の専門家としての成長を支援するものではなく、むしろ阻害していると同氏は主張する。
また、PAPへの申請から許可までのスケジュールを理事会は明示していない。「したがって、多くのクリニックは、申請が承認され理事長が署名するまでは、一度閉鎖し、その後再開する必要があるだろう」とのことだ。
「フィリピンにおける心理学実践の背景を著しく無視し、実行不可能である条項を修正するため」、徹底的な協議が行われるまで、決議の実施は保留されなければならないとレメン氏は語った。
紛争や虐待によるトラウマや、日常生活のストレスの積み重ねで精神的な異常を来たす人は少なくない。働ける専門家の減少や、人々の行き先の減少が不安の増大を促す負の連鎖を引き起こさないよう、PRBの対応に注目を続けたい。